Photo by Clint Lalonde
いつの間にか新電力の利用者が「全原発の廃炉費用」までも負担させられるように話が進められています。詳細は以下から。
経済産業省は福島第一原発の廃炉や事故処理、賠償金などの巨額の費用に加え、福島第一原発以外の大手電力が保有する全ての原発の廃炉費用を原則としてすべての電力利用者に負担させる方向で調整に入りました。
大手電力が持つ送電網の使用量として、2016年4月から新規参入した新電力が支払う「託送料金」に費用を上乗せする案が現時点では有力となっています。
託送料金は、修繕費など送電網の維持管理に必要な経費を基に国が認可し、すべての電力利用者の電気料金に上乗せされているもので、原発の維持に充てられる電源開発促進税も含まれています。ここに福一の廃炉、事故処理、賠償の費用に加え、他原発の廃炉費用までをも上乗せしようというのが今回の方針。
「託送料金」という他の必要な経費を賄う料金の中にこっそりと隠して目立たないように水増しするという極めて姑息な手段ですが、福一関連の費用の目処も立たない中でさらに他原発の廃炉という上限の見えない消費者の負担増は大きな反発を招きそうです。
経産省は原発による電力の一部をすべての電力会社が安く利用できる仕組みを整えることで「国民への恩恵がある」として理解を求めるとのことですが、そもそも原発はほとんど稼働しておらず、福一関連の費用や他原発の廃炉費用で相殺どころか負担増になるのは火を見るよりも明らか。
福一の事故に関しては既に多くの税金が投入されていながら東電側が全く責任を取っておらず、その状態でさらなる救済を求める姿勢には既に大きな反発が起こっています。
また、他原発の廃炉費用がさらに上乗せされることに関しては「電力の自由化で大手電力会社から顧客が流出すると、廃炉費用を工面できなくなる可能性があるため」としていましたが、従来の原発推進路線という企業方針の失敗ですから自ら責任を取って然るべきもの。他の会社の電気を使っている消費者にまで負担を押しつけてよしとされる話ではありません。
自ら建設した原発の事故や廃炉の責任を取らない大手電力会社という「企業」を救済し、延命させるために別の企業のユーザーにまで負担を強いる。別の業界であればまったく成り立たない図式ですが、こんなことが本当にまかり通ってしまうのでしょうか?
全原発廃炉、国民負担に 料金上乗せ_一面_中日新聞(CHUNICHI Web)
(Photo by Clint Lalonde)
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