公務中の機動隊員が絶句ものの差別語で市民を罵倒している動画が大きな物議を醸しています。詳細は以下から。
問題となっている発言が行われたのは沖縄県東村高江周辺の米軍北部訓練場内のヘリパッド建設現場でのこと。
18日午前9時45分ごろ、訓練場N1地区ゲート横の丘に設置された仮設フェンス前で抗議していた沖縄県出身の芥川賞作家の目取真俊さんに対し、機動隊員3人がフェンスから離れるように支持する際に、機動隊員のひとりが「触るなくそ。どこつかんどんじゃボケ。土人が」と差別語を用いて罵倒しました。
この際に撮影された動画が以下のもの。閲覧注意です。
沖縄県民を土人呼ばわりする大阪府警の機動隊員 - YouTube
20代と見られる機動隊員が明確に、吐き捨てるように「土人が」と関西弁で罵倒しています。抗議していた市民ら側からは大阪府警の機動隊員だったとの指摘がされていますが、この件に関して沖縄県警は「県警としてそのような発言は確認されていない」と回答し、大阪府警側からのコメントは現時点では出されていません。
「土人」という言葉は語源的には単にその土地の人、土着民を指す言葉でしたが、近代以降に「未開・非文明的・粗野」といった差別的な意味合いを帯びるようになり、現在では差別用語として報道などでは用いられません。
この文脈では本土から来た機動隊員という公的な存在が公務中に沖縄県人に対して「未開・非文明的・粗野」であるという意味合いの差別発言を行ったことになります。
また、こちらの動画では同様に機動隊員が「黙れ、こら、シナ人」と罵倒しています。
「黙れ、こら、シナ人」と発言する大阪府警の機動隊員 - YouTube
沖縄が中国の支配下にあるといった陰謀論は一部ネットユーザーによって吹聴されており、米軍の沖縄駐留を支持し、反対派を「中国の手先」などとする動きは以前から存在しています。この流れで反対派に対して「シナ人」という差別語での罵倒が行われたものと考えられます。
これまでも日本国内では在日外国人や同性愛者、アイヌに対するヘイトスピーチがネット上はもちろんデモや街宣の形で路上でも行われてきており、ヘイトスピーチ対策法が今年の5月24日に成立したのは記憶に新しいところ。
この法律ではヘイトスピーチを「生命や身体に危害を加える旨を告知し、著しく侮蔑するなど、外国出身者であることを理由に、地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動」と定義していますが、法案発議者である公明党の矢倉克夫議員は「それ以外のものが許されるという意味ではない」と断言しています。
また、質疑での「米軍基地反対運動はヘイトスピーチに当たるのか」との質問に、当法案のもうひとりの法案発議者である自民党の西田昌司議員は「立法事実として全く想定していない。政治的な活動・批判であり本法案とは関係ない。憲法で保障される表現の自由の範囲内」とこちらも断言しています。
なお、大阪市ではこのヘイトスピーチ対策法に先駆けてヘイトスピーチ抑止条例が成立、7月1日から施工されています。こちらではヘイトスピーチは「不特定多数の者が知りうる場所や状態で、人種や民族に係る特定の属性を有する個人や集団を社会から排除したり、権利や自由を制限したり、憎悪や差別の意識や暴力を扇動する目的で、侮蔑や誹謗中傷したり、脅威を感じさせること」とより明確に定義されています。
この条例では有識者でつくる審査会と市がヘイトスピーチと認定した場合、行った個人や団体の名前を公表されることになりますが、本来はヘイトスピーチを取り締まる立場のはずの大阪府警に所属する公務員が差別語を用いて沖縄県人を罵倒したという事態となり、極めて異常です。
もっとも、大阪府警と言えば女性を目隠しして縛って集団強姦した上に不起訴処分になったり、8万件の犯罪記録を隠したりするなど、極めて悪辣な所業が以前から大きな問題となっている組織であることは敢えて詳しく言及するまでもありません。
このふたりの機動隊員が本当に大阪府警の機動隊に所属しているのか今のところ回答はありませんが、機動隊員であることは間違いなく、動画で明確に撮影されている以上、警察側がなんら回答なしで済ませてよい話ではありません。
「どこつかんどんじゃ。土人が」 高江の機動隊員が発言 作家・目取真俊さんに _ 沖縄タイムス+プラス ニュース _ 沖縄タイムス+プラス
市民を「土人」呼ばわり 機動隊員、沖縄のヘリパッド建設現場 識者ら差別発言と批判 - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース
【10月19日17:09追記】
沖縄県警の調べで大阪府警の20代の男性機動隊員が発言を認めたとのこと。なぜか大阪府警ではなく沖縄県警が「今回の発言は極めて遺憾。以後そのようなことがないようあらためて指導する」とコメントを出しています。
沖縄県警が「土人」発言認める 「シナ人」発言は確認急ぐ _ 沖縄タイムス+プラス ニュース _ 沖縄タイムス+プラス
しかし松井一郎大阪府知事は「表現が不適切だとしても、大阪府警の警官が一生懸命命令に従い職務を遂行していたのがわかりました」と擁護する発言をツイッター上で行いました。
「土人」発言の大阪府警機動隊員を松井一郎府知事が「一生懸命命令に従い職務を遂行」「出張ご苦労様」と擁護 | Your News Online
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