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存在しない原発事故用保険の保険料を、過去半世紀分に渡って徴収するという全く意味不明な方針が提示されています。詳細は以下から。
経済産業省は11月16日の有識者による「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」の作業部会で、東京電力の福島第一原発事故の損害賠償費用を工面するため、国民から広く徴収する案を検討しました。
しかも、その徴収の名目が原発による電気の利用者が事故に備えた保険料として積み立てるはずだった「過去分」として最大50年も遡って徴収するという、まさに開いた口がふさがらない無理筋の屁理屈をこね始めています。
一般的な社会常識で考えれば、同意していない保険に勝手に入らされているだけでも詐欺案件ですが、それを半世紀も過去に遡って徴収するというのはまさに狂気の沙汰。ヤミ金融であってもここまでの無茶をすることはないというレベルです。
経産省は「国民は事故対応費を負担せずに安い電気を使っていた」と考えていますが、「原発は安くて安全」と当初から広く宣伝してきたのは大手電力会社であり、原発事故に備えた保険料としていずれの時点からも電気料金に上乗せして徴収してこなかったのも同様に大手電力会社の責任。
いずれも「安全かつ安価なエネルギー」として原発を推進するために取った方針であり、リスクマネジメントの失敗と言う他なく今になって国民に押しつけていい費用ではありません。
経産省は福一事故を巡る費用をこれまでは廃炉費2兆円、賠償費5.4兆円、その他3.6兆円の総額11兆円と見込んできましたが、廃炉費は4兆円膨らんで6兆円に、賠償費は3兆円膨らんで8.4兆円に達する見込み。
もともとかかるお金は国が出資する「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」が一時的に立て替えた上で、後ほど東電と大手電力が利用者から集めた電気代などから返す仕組みとなっていましたが、膨らんだ分を国民全体から徴収したい考えです。
具体的には膨らんだ分の賠償費を大手電力が持つ送電線の使用量に上乗せし、原発を持たない新電力の利用者にも負担させようとしています。
東電は社員や役員に高給を払う余裕があるのなら、自らの責任をまずは全うすべきでしょう。少なくとも存在すらしていなかった保険を捏造し、過去半世紀分まで国民全体に払わせようという方針は完全な詐欺と断ずる以外ありません。
原発利用「過去分」に反発 福島事故賠償の国民負担案 - 共同通信 47NEWS
原発賠償の追加費用、国民負担に 経産省案:朝日新聞デジタル
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