「代替的真実」という名の卑劣なデマが断罪されました。詳細は以下から。
赤の他人の赤ちゃんの写真を無断で転用した上に、その祖父母になりすまし、「安保反対国会前デモに連れていかれた、我が孫、聖羅が熱中症で還らぬ人になってしまいました」というデマを拡散しようとしたツイッターの投稿者(@akky1967:既にアカウント削除済)が特定され、謝罪しました。
BUZZAP!でも以前お伝えしたように、娘の写真を無断転用された夫婦は米ツイッター社側に発信者の情報開示を求めて仮処分を申し立て、2015年9月30日の時点で東京地裁がIPアドレスなどの開示を命じる決定をしていました。これによってプロバイダーが判明したため、夫婦はプロバイダーに対して「娘の肖像権を侵害された」などとして投稿者情報の開示などを求める訴えを、新潟地方裁判所に起こしました。
「安保反対デモで孫が死んだ」と他人の赤ちゃんの写真を無断転用したデマツイートの投稿者情報、プロバイダーに開示命令 | Your News Online
新潟地裁は2016年9月30日、業者側が把握している投稿者の住所の情報を開示するよう命じる判決を言い渡しました。
近藤幸康裁判官は「誰もが自分の容姿などをむやみに撮影や公表されないよう守られる利益があり、承諾を得ずに、多数の閲覧者が拡散できるようにすることは肖像権の侵害とみるのが相当だ」と指摘、その上で「たとえ家族がネットに写真を掲載していたとしても、不特定多数への公開を黙認しているものではない」として「原告側には発信者に対する損害賠償請求のために情報開示を受けるべき正当な理由がある」との判断を示しました。
プロバイダー側はなぜか「本人の名誉を傷つける記述はなく、家族も写真をネット上に掲載していた」として肖像権の侵害にはあたらないと主張、「発信者情報を開示しても投稿した人物の特定ができるかは不明」などと反論していました。
プロバイダーが投稿者の氏名や住所を把握していなかったことから、判決で開示された投稿者の関係するマンション名とその住所を元に弁護士が関東在住の男を特定し、示談に至りました。投稿者は「申し訳なく思っている。安保法制に反対するデモの規模を小さくしたかった」との謝罪文を送り、慰謝料とこれまでの調査費を支払いました。
この投稿者の姿勢は明確に、無根拠なデマを用いてでも自分と反対の意見を攻撃することを厭わないというポスト真実時代の「代替的真実」そのもの。しかしそんなものは卑劣なデマ以上のなにものでもなく、特定されれば軽くとも謝罪に追い込まれて慰謝料を支払わざるを得ない犯罪行為です。
同様に熊本地震の際「ライオン逃げた」とデマを流した男は逮捕されましたが、いずれにせよ「代替的真実」という名のデマの流布は相応の代償を支払わされる犯罪行為であることはよく肝に銘じておくべきでしょう。
熊本地震直後に「ライオン逃げた」とデマツイートした佐藤一輝容疑者が逮捕される | Your News Online
「娘の画像、ツイッターで悪用」投稿者を突き止め、示談:朝日新聞デジタル
娘の画像無断転載、投稿者を突き止め謝罪させる _ 社会 _ 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
イースト・プレス (2016-06-10)
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