どうする公明党?創価学会の池田大作名誉会長の「人道的であることが非国民とされる時」という英語エッセイが海外仏教サイトに掲載



池田大作氏が第二次世界大戦中の自らの経験を振り返り、国粋主義を厳しく糾弾する英語エッセイを掲載しました。詳細は以下から。


創価学会の池田大作名誉会長のエッセイが海外の仏教系サイト「tricycle」に2017年5月22日付けで掲載されました。

このエッセイは第二次世界大戦中の自らの経験をベースに、国粋主義を厳しく糾弾した「人道的であることが非国民とされる時(When Being Humane Is Traitorous to the Nation)」という題名の文章です。

エッセイは1937年、蒲田駅東口付近の縁日から始まります。当時9歳だった池田大作少年はここでねずみ色のスーツに身を包み、西洋式カミソリを屋台で売る西洋人を見かけます。西洋人は片言で「ワタシ、ニッポン、ダイスキ、デス」と繰り返しますが、2.26事件と盧溝橋事件を経て日中戦争に突入した日本には既に国粋主義の空気が蔓延しており、誰もその西洋人のカミソリを買おうとはしません。

池田大作氏はこの時期に日本は無敵の「神の国」であり、他の国の人々よりも優れているという考え方が叩き込まれていたと述べます。特に感じやすい子供の心はおぞましい偏向教育によって「日本に生まれて幸運だった。他の国じゃなくてよかった」と易々と思い込まされていたことを指摘します。

また、池田大作氏は南京大虐殺が隠蔽されて栄光ある大日本帝国軍の勝利と報じられたことを例に取り、日本のこのような教育システムが日本人にしか受け入れられない歴史や社会観を教え込んでいった事実にも切り込みます。

そして、先のカミソリ売りの西洋人の例を引き、外国人を拒絶する国家は自らの国民に対して思いやりに溢れているのだろうか?と問います。池田大作氏の答えはNOです。ナショナリズムが国家や人種を聖なるものであると見なすため、国民を自らの資産としてその国家が無くなるまで犠牲を強いるのだと喝破します。

池田大作氏は過去の自分の経験を語るエッセイの中に近年の日本に対する考察を入れ込みます。近年の日本では「民族の誇り」や「日本文化の素晴らしさ」といったフレーズが再び増加しているとし、その理由を経済の退潮に伴う自信の喪失への反応だと考えています。

多くの日本人が国家や民族の誇りにどっぷりと浸るのか。池田大作氏は彼らが国家や民族を超えた人権や偉大な宗教の達成した境地などを奉ずることができないからだとします。この辺りは創価学会の名誉会長らしい指摘だとも言えそうですが、宗教的な境地と人権が並列されて例示されているところは特筆に値します。

その後、エッセイは昭和20年の東京での空襲と、撃墜されてパラシュートで降下し、民衆に殴られながら捕虜となった20歳前後のアメリカ兵について語られます。「鬼畜米英」のスローガンからはあまりにかけ離れたあどけなさの残るその米兵に池田大作氏がショックを受けたこと、そしてあくまで家族を殺した敵としてその米兵を竹槍で殺そうと詰め寄る日本人のエピソードが続きます。そこでは若い米兵への同情は禁句でした。

もし人間であろうとすれば、非国民として非難された。愛国者であろうとすれば、人間性を裏切ることを避けられなかった。他者に共感するというシンプルな人間的な行為すらもが禁じられたのだ。



と池田大作氏は述べています。

第二次世界大戦から長い時間が過ぎ、戦争を知らない世代がもはや多数を占めるようになった日本。池田大作氏は戦後生まれ世代には戦争の原因に責任はないとしながらも、現在の日本に存在する国粋主義的な風潮や他者への不寛容な考えは戦争へと繋がるものであり、それに反対する責任があると明言します。そして、反対しそびれ、行動しそびれ、沈黙を保つのであれば、それはこのような危険な考えを消極的に支持することに他ならないと断じます。

エッセイは「ある外国人の言葉」として日本へのメッセージが語られて終わります。

私は日本を愛しているから、世界に信頼され、隣人に愛される国であって欲しい。もしこのまま人権を無視し、歴史的事実から目を背け、隣人の懸念に耳を傾けなければ、誰からも笑われ、蔑まれる事になるだろう。思い切ってこんな事を言うのは、そんなことが怒るのでは無いかと心の底から心配しているからだ。



このエッセイが収められた英語書籍「Hope Is a Decision」が発売されたのは2017年5月ですが、当該ページの記述からこのエッセイ自体が書かれたのは2001年の事。16年も前に今現在の日本の状況を驚くほどずばりと言い当てていて空恐ろしくすら感じます。

池田大作氏は近年人前に姿を見せず健康問題が取り沙汰されてきましたが、2016年7月の選挙特番で創価学会副会長・広報室長の岡部高弘氏が「おかげさまで大変お元気」としており、健在であるようです。

そして、このエッセイが掲載されたのが現地時間5月22日。日本では共謀罪が衆議院本会議で強行採決された5月23日に当たります。これは決して偶然の一致とは言えません。池田大作氏が明確な意図を持ってこの日にわざわざこのエッセイを海外サイトに投稿したと考えるのが妥当でしょう。もちろんそれは公明党と創価学会員に向けられたメッセージです。

創価学会といえば初代会長の牧口常三郎氏が1943年に治安維持法違反ならびに不敬罪容疑で検挙・投獄され、1944年11月18日に獄死したことはあまりにも有名。

公明党が「平成の治安維持法」とまで呼ばれる共謀罪の賛成に回ること自体が極めて理解しがたい行動であり、池田大作氏がこのエッセイによって当時の大日本帝国の国粋主義的な風潮を批判する事の方がむしろ自然なのです。

創価学会員から絶大な支持を得る池田大作名誉会長がこのように明確な批判を寄せる中、公明党は今後も自民党にへいつくばって与党の地位を守るために唯々諾々と従い続けるつもりなのでしょうか?そして学会員は今後も指示通りに公明党に票を注ぎ込み続けるつもりなのでしょうか?

筆者が都合よく文章を切り貼りして勝手に翻訳していると思われる方は是非掲載された英語の原文をお読みください。「この世界の片隅に」を思わせる(池田大作氏はすずさんの2歳年下)生き生きとした戦時中の描写が、読みやすくも優雅な美文で綴られています。

When Being Humane Is Traitorous to the Nation - Tricycle


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