民間が給付型奨学金で動き出しています。ローソングループが全母子協と連携してひとり親の子どものための奨学金を開始しました。詳細は以下から。
奨学金とは名ばかりの学資ローンが横行する日本。憲法改正で教育無償化と言いながら「卒業後にツケ」の制度を提案するなどトンチンカンな動きが多く、返済義務のない本物の奨学金の制度を作ろうにも民間の寄付を当てにするなど、本気度がどれほどのものか疑問の余地が残ります。
そうした国の動きの遅さを尻目に、2016年には世田谷区が児童養護施設や里親のもとを巣立ち、進学を望む若者に対して月額3万円となる給付型奨学金を独自にスタート。そして今回はローソングループが一般財団法人全国母子寡婦福祉団体協議会(全母子協)と共にひとり親世帯の子どもを対象とした給付型奨学金を創設しました。
この奨学金は「夢を応援基金『ひとり親家庭支援奨学金制度』」と名付けられたもので、返済不要で月額3万円を中学校3年生と高校生、高専生に最大で4年間給付するもの。募集数は全国400名で、各都道府県で最低4名以上が選ばれます。
応募資格としては公式サイトによると
・ひとり親世帯(母子家庭等)であり就学に関して経済的に困難な生徒
・夢を実現するための意欲があり、社会貢献への積極的な姿勢のある品行方正な生徒
・全国母子寡婦福祉団体協議会(以下、全母子協)加盟団体の会員、及び入会を希望する方の子弟
・会員登録している団体代表者の推薦を受けることができる生徒(福島県、高知県は全母子協にて会員登録可能)
とされています。締め切りは2017年8月25日ですが、次年度以降も卒業生数に合わせて追加募集を行っていく予定とされています。なお、他の奨学金との併用も可とされます。
ローソングループは以前にも「東日本大震災奨学金制度」を創設していますが、子どもの貧困が問題となる中で新たな奨学金制度を創設したことになります。
もちろんひとり親世帯だけが貧困家庭である訳ではありませんが、より広い枠組みでの給付型奨学金制度は国が率先して作ってゆくべきもの。子ども食堂然りですが、子どもの貧困とそれに伴う教育の諸問題は民間の努力だけに任せていてよい問題ではありません。一刻も早い国家主導の給付型奨学金制度の創設が必要です。
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