横浜市長選挙を控え、横浜市の小学校に食い込むマナー教室が話題になっています。いったいどんな団体なのでしょうか?
7月16日に告示され、7月30日に投開票される横浜市長選挙。カジノ誘致に積極的だった菅官房長官に近い現職の林文子市長に対し、「カジノよりも中学校給食を」と訴える前・横浜市議の伊藤ひろたか候補を野党が応援するという構図が明確になってきています。
◆横浜市の教育の異様な現状
まずは公立中学校で給食が存在しないということに驚く人も少なくないと思われますが、横浜市の教育には首をかしげるような状況が以前から存在しています。
例えばBUZZAP!では東京電力福島第1原発事故に福島県から横浜市に自主避難した中学1年の男子生徒がいじめを受けた問題について、林市長が任命した横浜市教育委員会の岡田優子教育長が「関わったとされる子どもたちが『おごってもらった』と言っていることなどから、いじめという結論を導くのは疑問がある」というとんでもない認識を示しています。
また、2009年に林市長が初当選を果たした後の2011年から、横浜市は市立中学校の歴史と公民の教科書に愛国心の育成を主眼にし、歴史修正主義であると批判され、かつては「江戸しぐさ」というデマを平然と掲載し、トンデモ科学の「サムシング・グレート」まで掲載していた育鵬社の教科書を岡田優子教育長が鶴の一声で採択しています。
◆横浜市の小学校に食い込む「マナー教室」
この横浜市の小学校に現在食い込んでいるのが「スポーツ・文化活動を通じ、日本の伝統的な礼法を体験し、<体・徳・知>バランスのよい子供を育てる」とする公益社団法人マナーキッズプロジェクトです。
公益社団法人マナーキッズプロジェクトツイッター上でこの団体の存在が報告されたのは7月23日のことですが、今年度に入ってから横浜市内の複数の小学校で19回に渡って「マナーキッズ体幹遊び教室」を開催しています。
ここでは「正しい姿勢」「お辞儀・挨拶の仕方」が指導されますが、設立趣旨・背景についての図表を見てみると、極めて香ばしいことになっています。
(クリックで拡大)
「16~19世紀、日本人の礼儀正しさ、節度ある立ち居振る舞い、外国人は感嘆の声」という日本スゴイが最初に描かれ、これに対して現在の子ども・若者の状況がおかしいと批判されます。そして「礼儀正しさのDNAは残っているはず、今がラストチャンス、指導者がその気になれば子供は必ず変わる」としてマナーキッズプロジェクトが体・徳・知のバランスのよい子供を育てるとしています。
おかしなキャッチコピーだと思われるかもしれませんが、マナーキッズプロジェクトの田中日出男理事長も公式サイトの挨拶の中で
子供達の変わる姿を目の当たりにして、日本人の礼儀正しさのDNA、遺伝子は残っていると確信しております。
(理事長挨拶・総師範礼法指導内容 _ 公益社団法人マナーキッズ(R)プロジェクトより引用)
と高らかに宣言しており、この考えはプロジェクト全体の源泉であると言っても過言ではありません。そして少なからぬ人はこの発想の源泉に「江戸しぐさ」と近いものを感じるのではないでしょうか?
◆マナーキッズプロジェクトの正体とは?
このマナーキッズプロジェクトとはいったいどんな団体なのか、大きなヒントとなるのが2013年から開催されている「親守詩全国大会」です。
第1回となる2013年の開催要項(魚拓)には主催の一員として田中日出男理事長の名前があるのですが、同じ主催の中に「日本会議」の運営母体である「日本青年協議会」の幹部の高橋史朗明星大学教授の名前があり、協賛にはマナーキッズプロジェクトと並んで一般財団法人親学推進協会があり、さらに後援には神社本庁までもが名を連ねています。
おまけにこのサイトのトップ画像には「山口県大会名誉会長 安倍晋三賞」を受賞した親守詩が掲載されているという数え役満状態となっています。
そして第5回となる2019年の「親守詩全国大会」でも運営組織を構成する団体としてマナーキッズプロジェクトは親学推進協会と共に掲載されています。
ということで、横浜市の小学校に食い込み始めたマナーキッズプロジェクトが日本会議、そして親学推進協会と密接に関連する団体であることが浮かび上がってきました。「カジノか中学校給食か」が争点として浮かび上がっている横浜市長選挙ですが、こと教育に関する限り、話は日本会議や親学といった特定の思想が強く絡んでいることが見て取れます。
いったい横浜市民はどのような未来を選ぶのでしょうか?
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