正真正銘の売国、地方議会の議決なしで公共インフラの民間売却可能に



水道水が飲めるという日本屈指の長所が失われることになるかもしれません。詳細は以下から。


インフラは公共物であるからこそインフラたり得るもの。企業論理に委ねて維持される担保はどこにあるというのでしょうか?

◆地方議会の議決不要、料金も勝手に値上げ可能に
政府は地方自治体が運営する公共インフラへの民間企業などへの売却を促すためにPFI(民間資金を活用した社会資本整備)法改正案を1月22日招集の通常国会に提出し、早期の成立・施行を目指す意向です。

これにより、上下水道や公共施設の運営権を売却する際に自治体が条例を定めさえすれば地方議会の議決が不要となり、数ヶ月から数年の議論の時間が省略されます。


さらには運営権を取得した企業が好き放題に利用料金を設定できるようにもするとのこと。いまは所有する自治体の承認が必要ですが、届け出るだけで勝手に値上げもできてしまいます。

本件を報じる日経新聞は「公共インフラの老朽化が進む中、民間の資金を使った低コストの運営に転換し、公共料金の引き下げも視野に入れる」「民間のより自由な運営を促し、サービスの効率化や質の向上につなげる」などと綺麗事を書き連ねていますが、空港や美術館を始めとした公共施設はともかく、上下水道に関しては完全に現状が見えていません。

◆世界で進む水道事業再公営化の波
日経は欧州の水道民営化について内閣府の調査を引いて「フランスは上水道の6割、下水道の5割を民間が運営する。スペインは上水道の5割、下水道の6割を民間が運営し、行政コストの軽減につなげているという」としていますが、2010年にパリが、2013年にはベルリンが再公営化を行っています。

2000年から2015年までの間でクアラルンプールやアトランタなどの大都市を含む世界180の自治体が水道事業を「再公営化」しており、決して料金引き下げやサービス上質化を望めるものではありません。

◆水道民営化が値下げやサービス上質化に結びつかない簡単な理由
理由としては当然ながら民間企業は営利を目的としており、より安いコストで高い収益を上げようとします。国土交通省は上下水道などのインフラの維持費が2013年度の3.6兆円から2023年度に最大で5.1兆円に膨らむと見ており、水道事業を買収する企業から見れば最初から設備維持費が大きくのしかかってきます。


そうなれば企業はどうするか。当然事業を赤字にしたくなければ水道料金の値上げを行うか設備の保守をおざなりにするか、もしくはその両方となります。実際にパリの水道料金は1985年から2009年までの24年間に3倍以上も上昇し、再公営化の原因となりました。

極論すれば、「水道水がそのまま飲める」という日本の世界にもあまり類を見ない長所すら、水道事業が売却されれば維持される保証はどこにもありません。もしくは飲用に足る品質を維持するとの名目で極めて高い水道代を要求される可能性もあるのです。

◆水道事業民営化は地方を殺す
そして、さらに大きな問題は過疎地域にこそあります。JR北海道や第三セクターと呼ばれる鉄道会社の例を見れば火を見るよりも明らかですが、不採算事業は打ち切りとされる可能性も十分にあります。

鉄道やバスですら廃止されれば極めて大きな不便を強いられる人が出てきますが、毎日口にする水ともなればその影響は極めて大きく、そして致命的です。


限界集落への水の供給が採算が合わないから中止するとされてしまえば、その後に移り住んで生活を成り立たせることは極めて困難となり、日本の地方の消滅がより加速されることになるでしょう。

人口減少社会が到来し、少子高齢化が恐ろしい勢いで進む現代の日本においてこそ、水道事業の民営化は考え得る限り最悪の結果をもたらします。公共交通機関がなくなり、上下水道も通じなくなればその地域は文字通り死にます。


一時期日本国内では盛んに中国人が水源地を買収していると危機感を募らせる風潮がありました。しかし、実際には私たち日本の政府が率先して日本の水道事業を外資に売却しようとせっせと法整備をしているのです。これを売国行為と呼ばずして何と呼べばいいのでしょうか?

公共インフラの民間売却容易に 自治体の負担軽く_ 日本経済新聞

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