優秀なはずの官僚が雁首揃えていったい何をやっているのでしょうか?詳細は以下から。
◆あまりにも的外れな「若者の海外旅行離れ」の犯人探し
観光庁は「若者の海外旅行離れ」を食い止めるためという名目で、的外れも甚だしい有識者検討会を設置して促進策を探る議論に着手したようです。
有識者検討会では、若者が海外に行く動機付けなどをテーマに議論し、課題を洗い出した上で旅行の促進につながるような関連省庁の事業や旅行業界による取り組みを示すとのこと。
観光庁の同様な取り組みとしては2013年2月から旅の素晴らしさをテーマとする出前授業「若旅授業」を実施し、海外経験の豊富な有識者らを講師に招いて高校や大学などで2017年12月までに54回開催していますが、当然ながら「やってる感」の演出以上の効果はありません。
実際の数で見てみると、今から22年前の1996年の日本人の出国者数は1669万人で、そのうち20代は463万人でしたが、2016年は全体が1712万人とほぼ横ばいながらも20代は39%減って282万人にまで落ち込みました。
観光庁は若者が海外旅行に行かない主な理由として「ショッピングセンターや温浴施設など近場で休日を過ごす傾向」や「スマホゲームなど室内での趣味が増えたこと」などをひねり出していますが、どちらも鼻で笑うしかありません。
◆若者が海外旅行に行かない理由は「金がないから」です
なぜ近場で休日を過ごすのか、なぜ無課金で遊べるスマホゲームが人気なのかを考えれば若者が海外旅行に行かなくなった理由は一目瞭然です。そう、金がないということに尽きます。
大学の授業料は高騰を続け、奨学金の名を借りた学資ローンの返済に追われる20代に海外旅行の費用を捻出させるのは極めて困難。近年は人手不足で求人が増えたとはいえ、待遇はこれまでと大差なく、薄給の低待遇でブラック労働を強いられ、100時間近い時間外労働で週末の休日さえまともに休めない人が大勢いることを「有識者」らは知らないのでしょうか?
90年代に若者は猿岩石ブームなどに乗って、バックパックを担いで貧乏旅行に飛び出していました。しかし当時はまだバブル期の残り香があり、就職難とはいえフリーターとして即金で稼いで自由な選択を考える余裕の残っていた時代でした。
しかし残念ながら失われた20年の間に状況はさらに悪化し、若者が当時のような自由な発想で海外を目指す風潮は既に失われて久しく、就職すればしたで時間も金もないままに明日もしれず汲々と働かざるを得ない社会状況が存在しています。
観光庁は若者が海外旅行に行くことについて、「海外での経験は視野を広げることにつながるほか、外国人観光客の受け入れ体制を整備する際役立つ」などと色気を出しているようですが、「先立つ金と時間の余裕を持たせること」が唯一確実な解決策である事は疑いようがありません。
若者はもっと海外旅行を!=促進策を検討-観光庁:時事ドットコム
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