防衛省「3等空佐の暴言が政治的行為との批判は当たらない、まあ下品だから訓戒処分だけはしといてやるよ」



防衛省が丸ごとシビリアンコントロールを理解していないことが明らかになりました。クーデターまであと半歩の距離なのですが、理解しているのでしょうか?詳細は以下から。


◆幹部自衛官によるシビリアンコントロールの破壊事件
民進党の小西洋之参院議員が4月17日の参院外交防衛委員会で「16日夜に議員会館近くで現職の自衛官を名乗る者から『おまえは国民の敵だ』と繰り返し罵声を浴びた」と明らかにしたことで発覚した暴言事件。

この暴言の主はたまたまランニング中だった統合幕僚監部の3等空佐だったことが判明していますが、自衛官の、しかも極めて階級の高い幹部が野党議員を罵倒する事は憲法と自衛隊法で厳しく禁じられる絶対あってはならないことであり、大きな問題となりました。

前提として、自衛隊員は憲法第15条2項で「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と規定されており、政治的中立性が求められる事が明記されています。また、自衛隊員は自衛隊法第61条によって、選挙権の行使を除く政治的行為が制限されています。


ですが3佐は野党議員を激しく罵った上に、防衛省が行った調査で小西氏について「政府、自衛隊が進めようとしている方向とは、違う方向での対応が多いというイメージだ」と答えました。

自衛隊は内閣総理大臣をトップとする文民統制(シビリアンコントロール)に絶対的に従う組織であり、決して自らの意思で何かを進めようとすることは許されませんが、3佐は「政府、自衛隊が進めようとしている方向」と口にしており、「自衛隊は組織として意思を持ってはいけない」という、自衛隊の存在の前提となる絶対的な条件を踏み壊しています。

この問題は実際に「国民の敵」と言ったのかどうかという枝葉末節に矮小化させられる傾向にありますが、このような発想を前提として罵った以上、この罵倒が政治的行為である頃は否定のしようがありません。

◆防衛省はこの暴言を政治的行動と認めず訓告処分のみ
しかし防衛省は8日、3佐の「日本の国益を損なう」「気持ち悪い」「馬鹿なのか」といった発言は特定の政党に賛成や反対する目的とは認定できない偶発的なものだとし、政治的行為には当たらないとの認識を示しました。


そして防衛省は3佐を懲戒免職処分にすることもなく、訓戒処分のみという極めて軽い罰を与えるのみでやり過ごそうとしています。防衛省は3佐の発言が自衛隊法の「品位を保つ義務」に違反すると判断しましたが、この問題は品位などという上っ面の問題では断じてありません。

既に自衛隊と防衛省がPKOでの日報隠蔽問題で国民を大きく裏切っていますが、さらに現役幹部自衛官の政治的行為をも堂々と「無かったこと」にしようとしていることは大きく報じられているとおり。

また、BUZZAP!では先日17万人の現役自衛隊員が所属する「隊友会」が日本会議と連携し、改憲署名運動を推進しているという、極めて重大な自衛隊の政治的行為について報じ、大きな反響を得ています。



訓練を受けた実力装置である自衛隊が法律や憲法を踏みにじって「実力行使」を行うであれば、これはもう戦前の五・一五事件や二・二六事件と同列に危険視しなければならない状況ということになります。

発言は政治的行為に当たらないと防衛省 | 2018/5/8 - 共同通信

議員に暴言、統幕3佐を訓戒処分 「気持ち悪い」など:朝日新聞デジタル


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