外国人技能実習生に対する違法行為が前年度から5.5%増えて7割超え、4年連続で過去最多更新



外国人技能実習生の奴隷労働が年々過酷なものとなっている事実が浮かび上がりました。詳細は以下から。


◆苛烈さを増す「外国人奴隷」への仕打ち
厚生労働省が6月20日に、2017年に実施した外国人技能実習生を働かせている事業所に対する調査結果を公表しました。

その結果、この調査の対象となった5966事業所の7割を超える4226事業所で違法残業や賃金未払いなどの法令違反があったことが判明しました。これは2016年より5.5%増加しており、4年連続で過去最多を更新しています。

厚労省は、外部情報などから法令違反の疑いがある事業所への立ち入りを含む調査を実施。違反が発見された場合は改善指導を行っていますが、2017年の調査事業所数は前年比で5.1%増加しています。

違法操業を行っていた事業所の違法行為の中で最も多かったのは、36協定を結ばずに残業させるといった「労働時間」に関する事項で1566事業所。これは26.2%と全体の1/4以上にも及んでいます。

さらには使用する機械の安全対策が不十分といった「安全基準」が2割近い1176事業所と続いており、危険な環境で長時間労働を強いられる外国人技能実習生の姿が浮かび上がります。


具体例としては、製本業の事業所で36協定の特別延長時間である月間100時間を超え、月160時間というブラック労働の極みのような残業を強いていた事例も。また、造船工場内での作業中に転落して実習生が重傷を負ったのに、労働災害を労基署に報告していないケースも報告されています。

BUZZAP!ではこれまで外国人技能実習制度を「現代日本の外国人奴隷制度」として繰り返し批判してきました。しかしこの数年間で実態への批判が増えたものの労働の質が改善するどころか、さらなる奴隷化が進展していることが数字の上で明確に示されてしまいました。

◆この奴隷制度はさらに拡大の方針
安倍政権は外国人奴隷制度を「人手不足の解消」という目的のためにこれまで以上に拡充する方針を明らかにしています。

具体的には新たな在留資格を設け、人手不足が極めて深刻な建設、農業、介護、宿泊、造船の単純労働とされる5分野で外国人労働者の使用を解禁。この在留資格の取得のためには最長5年間の外国人技能実習生への従事か新たに導入する試験に合格が求められます。


これによって外国人技能実習生を5年を超えて日本国内で奴隷労働に従事させることができるようになりますが、あくまで移民としては認めるつもりはありません。

実際に家族の帯同を許さず、基本的には期間が終われば日本から叩き出すという方針であることから、使い捨てのできる安価な労働力としてしか見ていないことは明らかです。

そもそも現時点で7割の事業所が外国人を人間扱いできていないわけですから、残念ながら日本人には外国人を雇う資格はありません。本当に人手がほしいのであれば、まずは自らが外国人を人間としてまっとうに扱うところから始める必要があります。

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