「女性医師は離職するから必要悪」東京医大入試で女子受験生を2011年から一律減点する「不正改ざん」が続けられていた



裏口入学どころの話ではありません。詳細は以下から。


東京医科大学が今年2月に行った医学部医学科の一般入試において、女子受験者の得点を一律に減点して合格者数を「抑制」していたという鉄板の性差別が読売新聞によって明らかにされました。

受験生の女性という性別だけを理由としての「一律減点」という不正な改ざんは、受験者には一切の説明がないまま2011年頃から続けられていました。これは2010年の医学科の一般入試で女子の合格者数が69人となり、全体の38%に達したためとされています。

不正改ざんが何故行われたかに関しては、まず同大出身の医師の多くが系列の病院で働くという背景があり、結婚や出産で離職する可能性のある女性医師が増えることで系列病院の医師が不足する恐れがあったとのこと。

特に緊急の手術が多く勤務体系が不規則な外科では、女性医師は敬遠されがちで、「女3人で男1人分」との言葉もささやかれるという風潮もあり、関係者はいわば必要悪。暗黙の了解だったと述べています。

実際にこの不正改ざんによって2011年以降は女子の合格率は男子よりも低い水準に「抑制」されていますが、これによって不合格とされた女子受験者は受験料を支払って受験している以上、大学側から詐欺行為を受けたことになります。

それ以前に誰の目から見ても極めて明確な性差別を大学という組織ぐるみで継続的に行ってきたという計画性の高い悪質な案件であり、大学入試の話とはいえ系列の病院での雇用の問題を理由として行われている以上、男女雇用機会均等法違反にも該当しそうな話です。

女性医師が結婚や出産で離職する事が問題と考えるのであれば、結婚や出産で離職しなくてもすむ職場環境を整えるのが東京医大側の責務であり、今回の措置は完全に本末転倒と言わざるを得ないでしょう。

なお、今回の東京医大の問題に関してネット上では医療関係者らから「東京医大だけの問題ではない」「この『暗黙の了解』は医学界全般にある」といった指摘もある上に、医療に限らず就職活動の場では性別を理由とした同様の「調整」が暗に横行しているといった指摘も。

日本の男女格差が114位と過去最低を2年連続更新したことは昨年BUZZAP!でも報じていましたが、このまま日本社会に蔓延する性差別をしっかり明るみに出すことで、ひとつの大きな「膿を出す」ことに繋がるのかもしれません。

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