ボランティア参加者のデータこそが東京オリンピック最大のレガシーになるのかもしれません。詳細は以下から。
8月30日に富士通がボランティアの管理にマイナンバーカードを活用する調査研究事業を総務省から受託したことを発表しました。これは2020年の東京オリンピックでの導入を視野に入れたもので、まずは11月に宮崎県で開かれるトライアスロン大会で実証実験を行い、課題などを洗い出します。
東京オリンピックで東京都が募るボランティアは8万人に上るため、登録時の身元確認の効率化が必要となります。その管理のためにICチップ内蔵のマイナンバーカードを用いて氏名や住所などを機械で読み取る案が検討されています。
現時点で登録されたボランティアらの入場管理でNECの顔認証システムの導入が決まっており、今回の案が決定すれば東京オリンピックのボランティアはマイナンバーカードと顔認証を紐付けられて管理されることになります。
絶対に他人に知られてはならないはずのマイナンバーですが、番号の通知だけでなくカードの取得を必須とさせることはセキュリティ上極めてセンシティブな事案になります。ボランティア登録やデータ管理がどこまで安全に行われるのかは非常に気になるところ。
また、現時点ですら取得率10%程度でしかないマイナンバーカードが必須となれば、ただでさえ応募が少ないとされるボランティアへの参加のハードルが更に上がることとなり、人材不足の問題がより深刻になることは間違いなさそうです。
ですが実現すれば、炎天下で高スキルを必要とされる劣悪待遇での無賃労働に「志願」してくる日本人8万人のリストができることとなり、安く労働者をこき使いたい企業側としては喉から手が出るほど欲しい「東京オリンピック最大のレガシー」が爆誕することにもなりそうです。
東京オリンピックのボランティアを考えている人は、これに参加することが熱中症の危険が極めて高い中で宿泊費や交通費などの自腹を求められ、無給で1日8時間労働をさせられた挙句にマイナンバーと氏名、住所、生年月日、性別、さらに顔認証を紐付けられたデータとして末永く管理されることになる事もしいっかり頭に入れておいた方がよいでしょう。
なお、政府は既に東京オリンピックでマイナンバーカードを活用する方針を2017年5月に閣議決定しており、一般向けチケットの不正転売防止に用いることも検討しています。オリンピック観戦にもマイナンバーカードが必須となればさらに普及は進むかもしれませんが、自分の情報がどこまで漏れる可能性があるのか、よく考えて関わり方を考える必要があります。
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