コンビニ・スーパーのイートイン、消費増税の「軽減税率」のせいで利便性が崩壊



庶民に対する「やってる感」の演出のために利便性が潰されるという本末転倒です。詳細は以下から。


2019年10月に10%に増税される消費税。この際導入される軽減税率(という名の税率据え置き)を巡り、最近増えてきたコンビニやスーパーのイートインコーナーの利便性が壊滅的な打撃を受けることになります。

今回の消費増税に伴う軽減税率は飲食料品に適用されますが、外食や小売店の飲食スペースで飲食する場合の税率は10%になります。つまり、適用されるのは少なくとも店舗の外まで「持ち帰り」をする場合のみに限られます。

近年はスーパーに加えてコンビニなどでもイートインコーナーが設置されるケースが増えており、仕事の合間やドライブの途中などでちょっと一息といった使い方ができて好評ですが、ここで飲食するのであれば10%の消費税を支払わなくてはなりません。

ですがもちろん商品の会計をする時点ではどこで食べるのか分からないため、客に持ち帰りか店内で飲食するかを確認する必要が生じてしまいます。

これは大した話ではないように思われるかもしれませんが、暇な時間帯はともかく昼休みや近隣で大きなイベントが開催される時のようなピークタイムには混雑の大きな原因となります。

一方で、「飲食禁止」を明示して客が店内で飲食しない場合には軽減税率が適用されます。単に休憩場所として椅子などを置く店舗では飲食禁止とすることで客への意思確認を省くことができるとのこと。


つまり、利用者にとっては「いちいち『店内でお召し上がりですか?お持ち帰りですか?』というやり取りが生じ、店内で食べるなら2%余計に払わされる」「店内では一切飲食禁止にされてしまう」の二択になるということ。

店側から見ても「いちいち確認の手間を取らされ、1人の客への対応時間が否応なしに増やされる」「イートインという機会を損失する」の二択になります。

結局のところ、たかだか据え置きでしかない軽減税率という名の「やってる感」の演出のため、庶民が日々利用するスーパーやコンビニの利便性が損なわれるという極めて本末転倒な事態が起こっています。

この方針が実行された暁には「飲食禁止の休憩所で飲食する」「持ち帰ると言って消費税8%で支払いながらイートインで飲食する」といった違法行為が横行することは間違いなさそうですが、当然これらに店員が対応することになればさらに手間を取らされます。

実際にはなし崩し的にこれまで通りの運用となりそうですが、その場合はこの方針は単に現場を混乱させただけという残念な結果に終わることになります。

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