ダウンロード違法化法案が通常国会への提出を見送り、臨時国会での提出を目指す



拙速な法改正はひとまず避けられました。今後しっかりとした議論が求められますが…。詳細は以下から。


自民党は3月13日朝、文部科学部会と知的財産戦略調査会の幹部らの会合で海賊版対策のダウンロード違法化を盛り込んだ著作権法改正案の今国会への提出を見送る方針を決めました。

自民党の赤池誠章文部科学部会長は「利害関係者である漫画家をはじめとする著作権者、そしてインターネットを利用する一般国民ユーザー双方から、現在に至っても、不安、懸念の払拭に至っていない。不安が不安を呼んでいるという悪循環が起きている」と説明。「不安、懸念を払拭すべく丁寧な手続きを進め、次期国会に向けて仕切り直しをすべきだ」として見送りを決めています。

見送りを決めた理由については「関係者の同意を得た上で(党部会による)事前審査にかかったものと認識していた」と説明しています。

この法案に関してはスクショはNGだけど「漫画村」はOKとなるなどの迷走が続き、当事者である漫画家らからも大きな批判を浴びるなど迷走が続いていた他、文化庁が法案への賛成意見の水増しや慎重意見の省略、都合のよい海外事例のつまみ食いによる比較を行っていたことも明らかになっていました。

こうしたことから、自民党総務会は関係者からの聞き取り不十分として異例の差し戻しを行い、3月6日に党の文部科学部会と知的財産戦略調査会の合同会議が開催。ですがその場で党知財戦略調査会長の甘利明元経済財政担当相は「政治論としての判断」などと主張し、多くの反対論を押し切って文化庁案のまま法改正を進めるよう求めていました。

その後産経新聞は安倍首相の「鶴の一声」によってダウンロード項目削除が決定されたと報じましたが菅官房長官は即座にこれを否定。読売新聞は海賊版対策は元々、首相官邸主導だったはずと困惑する文化庁幹部の言葉を掲載するなど、誰が違法化を目指しているのか非常に分かりにくい状況になっています。

臨時国会への提出を目指すに当たっては、誰がどういった理由で今回この危険な法案をゴリ押ししようとしたのか、しっかりと解明した上で議論を深めていく必要がありそうです。

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