仕事がキツく低賃金低待遇の職場が多い事で知られる介護業界が「肩たたき」の道具とされているようです。詳細は以下から。
◆損保ジャパンが4000人の人員削減
大手損害保険会社である損害保険ジャパン日本興亜が2020年度末までに、従業員数を17年度比で4000人程度減らす方針であることが分かりました。
この4000人という数字は従業員全体の約15%に相当する数で、2020年度末の従業員数は2万2000~2万3000人程度にまで減る見込みです。同時に新卒採用も17年度比で7割減にまで抑えるとのこと。希望退職者の募集は予定されていません。
この削減によって人件費などを年約100億円圧縮できる見通しで、同時にITを活用して業務の効率化を進め、生産性を高めたい考えです。
◆余った従業員を介護などに配置転換?
また同時に、「余った従業員」は介護などを手掛けるグループ企業に配置転換するとされています。
配置転換する余った従業員が削減予定の4000人に含まれるかについては明らかにされていませんが、営業やデスクワークがメインの損保会社の従業員が肉体労働である介護職の即戦力になれるかは微妙なところ。
仕事内容が大きく変わることはもちろん、賃金や待遇が大幅に低下するとなれば、この配置転換が事実上の「肩たたき」として機能する可能性も十分にあります。
◆収益改善のための人件費抑制がもたらすもの
さらに「人件費などで100億円圧縮できる」ということは、企業にとっては100億円の収益改善となりますが、それは市場から見れば100億円の可処分所得が失われるということ。
もちろん全員が無職のままになることはありませんが、大手損保会社よりも賃金のよい業種に誰もが転職できるとは限らず、個人消費をより冷え込ませる可能性も。
金融業界では、低金利による収益源などからみずほフィナンシャルグループが1万9000人の削減を公表し、三菱UFJフィナンシャル・グループも人員削減に舵を切っています。損保業界では本件が先陣を切った形になりましたが、業界全体でこうした傾向が続けば、市場に少なからぬ影響を及ぼすことも考えられます。
そうした中で、介護業界が「余った従業員」を体よく自主退職させるための道具として用いられる事になれば、切迫する介護の需要に対してクオリティを保つことが難しくなる可能性もあります。
配置転換先を介護業界とするのであれば、しっかりとした教育と十分な賃金・待遇を準備し、それを業界のスタンダードとさせる必要がありそうですが、そうしたフォローはどこまで行われるのでしょうか?
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