「ニンジンの皮を美味しく食べて増税に勝つ」話題になった日経新聞、今度は防災を国に頼らないようにとの提案です。いったい日本をどんな国にしたいのでしょうか。詳細は以下から。
◆日経新聞「防水を国に頼るな」
現時点で40人死亡、16人行方不明という多数の犠牲者を出し、各地で河川の氾濫や土砂崩れなどの甚大な被害を出した台風19号。
この災害を受けた日経新聞の記事「『もう堤防には頼れない』 国頼みの防災から転換を」に驚きの声が上がっています。
日経新聞は近年の災害の頻発に対して「行政が主導してきた防災対策の限界を示し、市民や企業に発想の転換を迫っている」と指摘し、堤防の増強などの治水事業の「安易な積み増しは慎むべき」と主張。
理由は近年の災害は気候変動と関連する可能性があり、防ぎきれる保証がない上に、人口減少のため費用対効果が小さいというものです。
◆災害時に自分の命を守るのは自己責任?
この上で日経新聞は市民と企業に対して「自らの命は自ら守る意識を持つべきだ」と、自己責任での対応を求めてしまいます。
「津波の危険地域からの事前移転や木造住宅密集地の解消など地域全体での取り組みが欠かせない」としますが、これはどこからどう見ても都市計画レベルの話で、個人や民間企業に押しつけられるものではありません。
日経新聞の論法では、津波の危険地域や木造住宅密集地から個人の負担で転居しろということになり、それでも住んでいる人は被災しても自己責任ということにもなりかねません。
◆防災は極めて重要な国家事業
上記のケースでは、実際には建築基準法に基づいて地方自治体が条例で災害危険区域を指定し、国からの補助金を支給する形で集団移転を促すことがありますが、これこそ国や自治体が行うべき極めて重要な「防災」という仕事のはず。
台風19号に関しては八ッ場ダムの働きがネット上で大きくクローズアップされていますが、以前BUZZAP!で取材した首都圏外郭放水路や渡良瀬遊水池も大きな働きを見せています。
日経新聞に対しては釈迦に説法かもしれませんが、こうした極めて大規模で利益の出ない防災・治水事業を営利企業が担うことは、資本主義社会では到底期待できません。
◆古来、治水は国の要でした
高校で世界史を学んだ人であれば、エジプトやメソポタミア、中国を含め、多くの古代文明が大河の近くに勃興し、それぞれの大河を治めることで強大な国家となっていったという歴史を学んでいるはず。
モンスーン気候で毎年台風に悩まされる日本でも、素戔嗚尊の八岐大蛇退治が治水の暗喩であるという説にはじまり、武田信玄や豊臣秀吉が大規模な治水事業を行った事は有名な話。
治水は国家の存亡に関わる一大事であり、もちろんそこに住む人にとっては直接命に関わる問題です。国に治水を筆頭とした防災を頼れないのであれば、安くない税金を納める意味にまで疑問符が付いてしまいます。
売り上げランキング: 66
・関連記事
「消費増税にはニンジンの皮と節約で勝つ!」日経のマネーハック記事がもはや戦時中レベルに | Your News Online
日経「大卒の初任給が5年連続増加」→グラフがひどすぎる | Your News Online
休暇中に旅先で仕事できてしまう制度「ワーケーション」を日経がドヤ顔で紹介、当然ながら批判の嵐に | Your News Online
NVIDIAを「謎のAI半導体メーカー」呼ばわりした日経ビジネスの記事が炎上中 | Your News Online
【?】日経新聞「日銀の物価2%目標が達成できないのは『ゆとり世代』が悪い」 | Your News Online