「宇予くん」の日本青年会議所(JC)がツイッターとパートナー協定締結、「情報リテラシー確立」目指すもいきなり個人攻撃開始

2018年に朝日新聞や野党支持者などへの誹謗中傷、中国や韓国への侮蔑などが大炎上した憲法改正マスコット「宇予くん」で大きな話題となった日本青年会議所。

このたびその日本青年会議所とツイッター・ジャパンが「情報・メディアリテラシーの確立」のためパートナーシップ協定を締結することが明らかになりました。

「宇予くん」騒動では、日本青年会議所はすべてを担当者に押し付けての逃亡という残念な幕引きとなりましたが、今回の協定でどのような「情報・メディアリテラシー」が示されるのでしょうか。詳細は以下から。

◆日本青年会議所の「宇予くん」って何？
まずはおさらいから。こちらが「憲法改正をはじめとする歴史や愛国心など保守的なことを面白くつぶやく、また対左翼を意識し、炎上による拡散も狙う」というドス黒いマーケティングで作られた日本青年会議所の憲法改正マスコット「宇予くん」です。

「宇予くん」は日本青年会議所国家戦略グループ憲法改正推進委員会が憲法改正に向けてネットを使った工作活動の一環として、同委員会の黒川明委員長（当時）がランサーズでコンペ形式で発注して作成したことが明らかになっています。

ツイッターのキャラクターの依頼/外注 | キャラクターデザイン・制作・募集の仕事 | ランサーズ（魚拓）

２０１８年度　公益社団法人日本青年会議所　国家戦略グループ憲法改正推進委員会（魚拓）

この「宇予くん」がどのような発言をしていたかについては以前BUZZAP!で詳細にまとめているのでそちらにゆずり、代表的なものをいくつか示すに留めましょう。まずは定番の朝日新聞叩きです。

こちらは共産党系の赤旗まつりに参加した一般人の新成人を実名をさらして「完全に頭がやられてるど」「間違いなく狂ってるど」と嘲笑しています。

中韓は世界の嫌われ者でバカで国交断絶するかミサイル爆撃すべきとド直球な侮蔑。安倍首相が習近平国家主席を国賓待遇でオモテナシすることが決まった2020年時点に読み返すとなかなかに感慨深いものがあります。

蛇足となりますが「日本会議かっこいい」ともツイート。この辺りは日本青年会議所自体の懐古的な日本観とも根深くつながっています。

◆「宇予くん」騒動の経緯と日本青年会議所の対応は？
この騒動はまず上記の工程表が流出したことから日本青年会議所が憲法改正に向けたネット工作を行っていたことが判明し、これに伴って「宇予くん」アカウントも発見されました。

当然ツイートのあまりのひどさに炎上。すぐにアカウントは非公開とされました。

宇予くん(@j0fd7eci6mkCaHz)さん

その後「宇予くん」が日本青年会議所の憲法改正推進委員会が発注したものであることが確定し、次いで同委員会が「宇予くん」作成以前にツイッター発信についてネット系コンサル会社にヒヤリングした内容をまとめた議事録が内部告発によって流出。

そこでは難民少女の写真をトレスしたイラストで、日本の保守界隈が持つ差別意識を世界に知らせしめた差別主義者・はすみとしこのイラストが参照されています。

この「宇予くん」騒動で日本青年会議所に注目が集まり、同時に発掘されたのがネット工作の別の一手である改憲推進マンガ（魚拓）。これは日本青年会議所運営のサイト「ニッポンサイコープロジェクト」に掲載されたものです。

内容も憲法を全く理解していないデタラメ三昧な上に、ブルゾンちえみ激似のキャラクターに極めて政治的な発言を繰り返させていたため、こちらも無事に大炎上となります。

これを受けて日本青年会議所は「宇予くん」が自らのネット工作であったこと、改憲推進マンガでブルゾンちえみ激似キャラを登場させたことなどを認めて謝罪。

お詫び | 公益社団法人日本青年会議所本会

ですが、誹謗中傷まみれの「宇予くん」の発言内容はあくまで「全て担当者の個人的見解」とトカゲのしっぽ切りに終始しています。

◆「情報・メディアリテラシーの確立」のためツイッター・ジャパンとパートナーシップ協定
そんな日本青年会議所が「情報・メディアリテラシーの確立」を目指してツイッター・ジャパンとパートナーシップ協定というニュースが話題になっています。

なんと日本青年会議所のメディアリテラシー確立委員会がリテラシーの理解やモラルを高めるのに役立つ情報をツイートしてくれるそうです。

その「情報を見極めよう！」という日本青年会議所アカウントの最初のツイートが「あなたも加害者に！」という注意喚起なのは高度な自虐ギャグなのでしょうか。

JCI Japan（日本青年会議所）の石田会頭は上記ツイートにリンクされている記事内でツイッター・ジャパンと以下のビジョンを共有したと書かれています。

Twitterを経営ツールとして有効活用させていただくことで各々の企業成長につなげていきたい。そして言論や表現の自由を守りつつも、子ども達のいじめ問題やネット犯罪等の社会問題にもメスを入れていきたく、今回の協定を結ばせていただいた。

（Twitter Japan × JCI Japan 社会課題解決への光明｜WE BELIEVE｜SDGs×ビジネス×ライフスタイルマガジンより引用）（魚拓）

ぜひとも子ども達のいじめ問題だけでなく、大人達の誹謗中傷問題にもメスを入れていただきたいところです。

◆「情報を見極めよう！」のリツイートをご覧ください
自らの「あなたも加害者に！」ツイートで強烈な出オチをキメてくれた「情報を見極めよう！」。では「リテラシーの理解やモラルを高めるのに役立つ情報」としてどんな情報をリツイートしてくれているのでしょうか。

まずはこちら。このパートナーシップ協定に絡めて津田大介さんを「発狂」と罵倒しているツイートをリツイート。

こちらでは、新型コロナウイルス問題でまとめサイトの「中国人が日本の健康保険に悪乗りしようと押し寄せる」デマに釣られた高須院長のコロナウイルスについてのツイートをRTしています。

なお、高須院長は先日も「子宮頸がんはコンドームで防げる」というデマを拡散して謝罪にも追い込まれており、そもそもが南京大虐殺やアウシュビッツのホロコーストも捏造だとする歴史修正主義者でもあります。

現在はこれらのリツイートはいずれもこっそり消去されており、フォローしているアカウントも報道各社などの無難なものに差し替えられています。

個人攻撃やデマ拡散者の個人アカウントを不用意にRTし、批判されるとこっそり取り消す。「情報・メディアリテラシーの確立」という観点からは0点を付けるしかありませんが、身をもってダメな例を示したという事なのでしょうか。

今後このアカウントがどのように運営されていくことになるのか。日本青年会議所とツイッター・ジャパンの情報・メディアリテラシーが問われることになります。