アベノマスク調達先4社目の「株式会社ユースビオ」、完全に正体不明でした



厚労省がかたくなに公開を拒んでいた妊婦向けアベノマスクの4社目が「ユースビオ」であることが判明しました。

しかしこの会社、少なくとも数億円単位の税金が投入されたはずですが、完全に正体不明です。詳細は以下から。


◆アベノマスク、3社に90.9億円→最後の1社の謎
まずは流れからおさらいしてみましょう。厚生労働省は4月21日、新型コロナウイルスの感染防止対策として日本の全世帯に配布する布マスク、通称「アベノマスク」に関し、計90億9千万円の契約で3社から調達したと明らかにしました。

これは社民党の福島瑞穂党首の問い合わせに書面で答えたもので、内訳は興和が54億8000万円、伊藤忠商事が28億5000万円、マツオカコーポレーションが7億6000万円とされました。

アベノマスクについては総経費が466億円と東京スカイツリーの建設費を超える価格となっており、内訳は配達費128億円、マスク調達費338億円と説明されています。

福島議員は「3企業を合わせても90.9億円で少ない。また、4企業と言っていたのに3企業という疑問はある」として、残りの1社がどこになるのか、また差額の用途などについても問い合わせているとツイート。



なお、厚労省は各企業の調達枚数は明らかにしておらず「開示した場合、マスクの単価を計算できることとなり、今後の布マスクの調達や企業活動に影響を及ぼす恐れがある」と説明しています。

マスク調達費の338億円から3社90.9億円を引くと247.1億円。最後の1社にいくら投入され、差額の用途は何か、私たちの税金の使途だけに、厚労省が公表を拒んだことには疑念の目が向けられていました。

なお、アベノマスクの予算については4月24日の記者会見で菅官房長官がより安く早い調達を目指した結果、マスク調達積算額より少ない90億円に収まる予定だと述べていました。

この「マスク調達積算額」が予算上のマスク調達費338億円を指すのだとすれば、すでに90.9億円の使途が判明したことになり、残りの247.1億円が浮いたことになります。

実際に掛かる費用の3.75倍もの見積もりを出した挙句にあっさり取り下げれば、民間であれば「なんでそんな見積もり出してきた?」と
ガチ詰めされた挙句に以降の取引をお断りされるレベルの大失態であることは社会人一年生でも理解できる話ですが、その点には敢えて触れずに最も大きな疑問について考えてみましょう。

つまり菅官房長官の言葉どおりなら、3社と計90.9億円の契約をしている時点で残りの1社と契約をする余地が残っていないのです。これにより、最後の1社は存在しておらず、どこかで中抜きがされているのではないかとの憶測も飛び交っていました。

◆活動実績のない正体不明の「株式会社ユースビオ」
そしてついに4社目の名前が挙がりました。福島議員が4月27日、公式ツイッターで妊婦用マスクの最後の1社の名前がユースビオであるとツイート。




さっそく国税庁のサイトから調べてみると、該当するのは株式会社ユースビオです。


法人番号指定年月日は2017年08月30日なっており、登録から2年半も経っていません。興和伊藤忠マツオカコーポレーションという押しも押されぬ大企業とは比較にならないほどの「格落ち」です。

そしてFOUNDED-TODAYの記述を見ても、事業内容はおろか代表者名や電話番号などもすべて不明。Google検索してみてもネット上に情報がまったく存在していません。


なお住所は「福島県福島市西中央5丁目54番6号」となっており、Google Mapで調べると郊外の住宅街の一角のプレハブ平屋の一室です。


ストリートビューの撮影日は2019年7月となっていますが、ユースビオの看板は出ておらず、当然マスクを生産できるような場所でもありません。なお部屋は6つしかありませんが、なぜか国税庁のサイトによるとこの住所に10の会社が登録されています。公明党のポスターが貼ってある部屋も。


ということで、現時点ではこの「株式会社ユースビオ」は事業内容も会社規模も全く不明なペーパーカンパニーと言わざるを得ません。少なくとも、他の3社と並んで億単位の税金を投入するにふさわしい実績は見当たりません。

いったいどのような経緯で厚労省がこの会社からマスクを調達する経緯となったのか、そしての何億円の税金がつぎ込まれ、何枚のマスクが調達されたのか。国難と首相が呼んだ疫病禍での感染症予防のため使われる国民の税金である以上、明確に示す必要があります。

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