2020年7月頭からの3週間、8万3000人に対して行われた新型コロナの抗体検査の結果、抗体を持っていたのはわずか14%に過ぎなかったことが判明しました。詳細は以下から。
ノーガード戦法で新型コロナに挑み、集団免疫を獲得することで打ち勝つというスウェーデンの戦略は世界各国から大きな注目を浴びていました。
確かにロックダウンや外出・営業の自粛などを行わず、限りなく普通どおりの生活で経済を回しながら多くの人が免疫を獲得できれば、経済的な打撃を最小限にとどめながらこの100年に一度の疫病禍を乗り越えられることになります。
ですがその後スウェーデンでの感染者数や死亡者数はヨーロッパの他の国々にも引けをとらないものになってゆき、経済も同様のマイナスで2020年のGDPは前年比4.5%減少する見込みです。
7月20日時点で死者数の累計は5619人に達し、その9割を70歳以上の高齢者が占めています。また死亡率も100万人当たり556人と世界最悪レベルとなり、国内から大きな批判の声が上がっています。
そうした中で、最終的に目指していたはずの集団免疫の獲得も失敗であることが明らかになりました。
スウェーデンの医療技術会社、Werlabs社が首都ストックホルムと人口第2の都市ヨーテボリ、同第3の都市マルメーで行った抗体検査によると、全被験者のうちで抗体検査に陽性反応が出たのは14.4%にとどまりました。
ただしこの検査は無作為ではなく検査を受けるかどうかを選択できたため、完全な標準サンプルとは呼べないことに注意が必要ですが、正確性は99%以上だとWerlabs社は述べています。
いずれにせよ大きな傾向は掴むことができ、ストックホルムではその前の6月中旬からの3週間に比べて陽性率は1%ダウン。マルメーでも9.4%から8%に下落しました。ヨーテボリでは逆に1%上がって15.1%となっています。
スウェーデンの公衆衛生局はストックホルムの人口の40%が抗体を持っていると予測していましたが、それよりもはるかに低い値となっていることが分かります。
集団免疫は最低でも6割、新規感染者が出ないためには約7~9割が抗体を持っている必要があるとされており、現実的な対策とするにはあまりにも被害が大きくなりすぎます。
また、「新型コロナウイルスに感染したほとんどの人は抗体を作るが、これは急速に衰えていくことが多く、感染後数ヶ月で免疫がほとんどなくなることを示唆している」とする研究結果も出ており、一時的に免疫を獲得しても持続しない可能性も指摘されています。
今回の検査でスウェーデンがより厳しい感染拡大対策に舵を切るかは不明ですが、「ノーガードで経済を回す」戦法が何をもたらすのか、この結果から学ぶ必要があるでしょう。
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