「笑えばいいと思うよ」笑顔のフリをするだけでポジティブな気持ちになれると判明



「楽しいから笑うのではなく、笑顔になると楽しくなるんだ」。そんな話を聞いたことがあるでしょうか?

本末転倒を地で行くようなあべこべな話に聞こえますが、実はこれが正解だったという研究結果が報告されています。詳細は以下から。


南オーストラリア大学の研究チームがジャーナル「Experimental Psychology」に報告した研究によると、偽物の笑顔を作ることで脳の気分を司る部分が刺激され、世界の見え方が改善されることが判明しました。

これは無理矢理笑顔を作ることで自分の精神をだまし、他人の表情や身振り手振りをよりポジティブに受け取れるようになるというもの。

実験では被験者に対し、上下の歯でペンを咥えてもらいました。これによって強制的に笑顔に近い表情筋の使い方をさせることになります。


そして被験者らに対して他人の表情や身振り手振りを評価してもらいます。これはペンを咥えた状態と咥えていない状態の両方で行いました。

その結果、ペンを咥えた状態では他人の表情、手身振り手振りのいずれについてもペンなしの状態に比べてよりポジティブに受け取っていました。

つまり強制的に笑顔を作りだすことによって、その人の実際の精神状態とは無関係に、他人の顔や振る舞いを好意的に受け取れるようになり、世界の見え方がより明るいものになったということに。

実験を主導したMarmolejo-Ramos博士は、強制的に笑顔になった時、脳の感情や情動を司る中枢である扁桃体が刺激され、神経伝達物質が分泌されて感情的にポジティブな状態になることが判明したと指摘。


博士はまた「あなたの表情筋が楽しいと言っている時、あなたはまわりの世界をより好意的に見るようになる」「もし私たちが脳を『楽しい』と騙せるなら、このメカニズムを精神状況の改善に使うこともできる」と述べています。

もちろん具体的な問題で笑顔になれない時はその問題に向き合う必要があるでしょう。ですがわけもなくただ憂鬱な時、意味もなく落ち込んでいる時、私たちはあのセリフを思い出して試してみるとよいのかもしれません。そう、「笑えばいいと思うよ」と。

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