「タトゥーの施術は医師法違反か?」を問う裁判で最高裁が上告棄却、無罪が確定となります。詳細は以下から。
医師免許がないのに客にタトゥーを施したとして医師法違反の罪に問われ、大阪地裁で罰金15万円の有罪判決を言い渡された彫り師の男性の控訴審判決で、大阪高裁が逆転無罪を言い渡したのは2018年11月14日のこと。
これに対して最高裁第2小法廷(草野耕一裁判長)が9月16日付で検察側の上告を棄却する決定をし、「タトゥーの施術は医療行為に当たらない」との判断を示しました。
これによっていわゆるタトゥー裁判の無罪が確定します。
小法廷は決定に際し、タトゥーを入れる行為が医療行為に当たるかを判断する前提として「行為の方法や作用だけでなく、目的や状況、実情、それに社会における受け止めを考慮し、社会通念に照らして判断すべきだ」としています。
その上で「タトゥーを入れる行為は、美術的な意義がある社会的な風俗として受け止められ、医療行為とは考えられてこなかった。医学とは質の異なる美術に関する知識や技能が必要な行為で、長年にわたって彫り師が行ってきた実情があり、医師が独占して行う事態は想定できない」と言及。
加えて草野裁判長はタトゥーの実情を巡って「医師免許を取得する過程では、タトゥーの施術に必要な知識や技能の習得は予定されておらず、タトゥーの施術を職業にしようという医師が近い将来、出てくるとも考えにくい。タトゥーの施術が医療行為だと解釈した場合、日本でタトゥーの施術を職業にする人が消失する可能性が高い」とも補足意見で指摘しています。
さらにタトゥーという文化に対しても「タトゥーは古来から日本の習俗として行われてきた。一部の反社会的勢力がみずからの存在を誇示する手段として利用してきたことも事実だ。しかし、最近では海外のスポーツ選手などの中にタトゥーを好む人もいて、それに影響を受けてタトゥーを入れる人も少なくない。公共の場でタトゥーを露出していいかどうかは議論を深める余地はあるが、タトゥーを入れたいという需要は否定すべきでない」として、保留を付けながらもタトゥーが現在日本で広く受け入れられ始めている文化であるとの認識も示しました。
今回の判決は「タトゥーの施術は医療行為に当たらない」として無罪になっただけにとどまらず、司法がタトゥーという文化・そしてその施術という職業が日本に存在していることにはっきりと言及して認めたことにあります。
来年開催予定の東京オリンピックから2025年の大阪万博まで、新型コロナが落ち着き次第再び外国人観光客が増加することを考えれば、国内でタトゥー文化への理解が深まることは日本人にとっても外国人にとっても大きなメリット。
これを機にタトゥーへの認識が大きく変わってゆく最初の一歩となるでしょうか。
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