アメリカ合衆国大統領選に絡んで名前を見かけるようになったニューヨーク・ポスト紙とワシントン・タイムズ紙。
思わずニューヨーク・タイムズ紙とワシントン・ポスト紙と間違えそうになりますが、その正体は世界的な一流紙たるこれらとは極めてかけ離れた、なんとも残念なものでした。詳細は以下から。
産経新聞は10月28日、投票日まで1週間を切った米大統領選に絡めて「米大統領選 保守系紙がトランプ氏支持 米紙の圧倒的多数はバイデン氏支持」という記事を掲載しました。
この記事では「米保守系紙ワシントン・タイムズ」と「バイデン氏親子の疑惑を報じたニューヨーク・ポスト」がトランプ大統領の支持を表明したことが報じられています。
これら2紙は海外の報道でよく名前の挙がる世界的な一流紙の「ニューヨーク・タイムズ」「ワシントン・ポスト」と名前がよく似ていますが、似ているのは名前だけで中身はまったく違っています。
ではその正体はどんなものなのか、それぞれ調べてみました。
◆「ニューヨーク・ポスト」はタブロイド紙
ニューヨーク・タイムズと間違えそうになるニューヨーク・ポストは、保守的・共和党寄りな報道姿勢のFOXニュースを擁するアメリカのメディア王、ルパート・マードックが所有するタブロイド紙。
ニューヨーク・ポストは10月14日、民主党のバイデン大統領候補とその息子ハンター氏のウクライナをめぐる疑惑について「Smoking-gun email reveals how Hunter Biden introduced Ukrainian businessman man to VP dad(ハンター・バイデンはいかにして父親をウクライナの商人に紹介したかを暴く決定的証拠のEメール)」という記事を掲載して大きなニュースとなりました。
ですがこのニュースは即刻バイデン候補陣営によって否定され、あまりにもソースが不明確な与太記事だったためにツイッターとFacebookはこのニュースをデマ扱いして拡散を一時制限するに至りました。
この経緯とそれに続くトランプ陣営のメディア操作の経緯については日本の保守系雑誌Wedgeの記事「バイデン疑惑でメディア操作を画策、トランプ3人組の暗躍失敗」でも詳細に取り上げられているように、フェイクニュースを使ったメディア操作でした。
つまり、ニューヨーク・ポストは裏取りすらせずに保守系に有利なフェイクニュースを垂れ流す三流以下の新聞ということになります。
◆「ワシントン・タイムズ」は韓国のカルト、統一教会が発行
ワシントン・ポストと間違えそうなワシントン・タイムズは1982年に韓国発のカルト「世界基督教統一神霊協会(統一教会、2015年8月に世界平和統一家庭連合と改称)」の教祖、文鮮明が発行した保守系新聞。初代の社長兼会長には統一教会の古参幹部であった朴普煕が就任しています。
このワシントン・タイムズの姉妹紙である世界日報も、初代会長は統一教会と「国際勝共連合」の会長を兼任していた久保木修己でした。
世界日報はワシントン・タイムズの対訳記事を掲載していましたが、2019年には提携して「ワシントン・タイムズ・ジャパン(WTJ)」をスタートさせています。
ワシントン・タイムズは1月には「Coronavirus may have originated in lab linked to China's biowarfare program(新型コロナは中国の生物兵器プログラムに関連する研究所で作られた)」とする記事を掲載、世界を巻き込むフェイクニュースの発信源にもなりました。
このフェイクニュースはデマサイト「アノニマスポスト」が取り上げて(現在は削除済み)日本国内でも一時話題となったことを覚えている方もいるかもしれません。
ということで、ワシントン・タイムズがフェイクニュース上等のカルトの機関誌であることがご理解いただけたでしょうか。
「海外で報道」というと思わずしっかりした報道機関や新聞がソースだと思ってしまいそうになりますが、日本であれ海外であれ危ういソースは存在しています。
特にこうした紛らわしい名称のソースでセンセーショナルな報道が紹介された時、はたして鵜呑みにしていいのか、一度立ち止まってじっくりチェックする必要があります。
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