大手学習塾に対し異例の同業他社19社による連名での告発が行われ、告発された側は全面的に争う構えとなっています。詳細は以下から。
◆臨海セミナーを学習塾19社が「モラルに欠ける」と告発
J-CASTニュースの報道によると、大手学習塾「臨海セミナー」を運営する神奈川県の「臨海」に対し、同様に学習塾を運営する19社が業務改善などを求めた申入書を送付しました。
これは臨海社員の神奈川の進学情報を扱うサイトカナガクへの内部告発を受けたもので、臨海セミナーの強引な生徒の勧誘や合格者づくりの方法などが社会的なモラルに欠けているとするもの。
申入書によると、臨海では塾生を通じて成績優秀な生徒の名前や塾名、志望校などの個人情報を収集。そうした成績優秀者らにこれも塾生を通じてアンケートや模試を渡して模試や講習などの申し込みに繋げているとのこと。
(カナガクより引用)
つまり本人や保護者の同意なく成績優秀者の個人情報を収集して集積し、未成年である塾生を目的も知らないままに個人情報収集や勧誘に利用していることに。またターゲットの生徒らに対して社員らが執拗な勧誘を行っている模様も申入書と取材で説明されています。
加えて申入書では、臨海は他塾の生徒をそちらに在籍させたまま授業料免除の特待生に認定させて合格者のカウント対象としたり、長期休暇中などの短期間の特別講座に参加しただけの生徒もカウントするといった行為も指摘。
事実であれば、これは公益社団法人全国学習塾協会が定める、合格実績に含むことのできる生徒に関する自主基準「受験直前の6ヶ月間の内、継続的に3ヶ月を超える期間当該学習塾に在籍し、通常の学習指導を受けた者とし、かつ、受講時間数が30時間を超える場合とする」から大きく逸脱するケースも含まれ得ます。
◆臨海セミナー側は「大きく脚色」と反論
この報道に対し、臨海セミナー側は「一方的な取材によるもの」「事実と異なる記載も多くある」と反論し、「弁護士とも協議の上今後抗議していく」とのこと。トップページにも反論を並べるなど徹底抗戦の構えです。
ただし、合格者に関しては「弊社合格実績に関しては、弊社自主基準に沿って管理を行っております」としているものの、上記の全国学習塾協会の基準に準拠しているとの記述はありません。
臨海セミナーの合格者カウントの基準については公式サイトから閲覧可能ですが、「受験直前の6ヶ月間の内、継続的に3ヶ月を超える期間当該学習塾に在籍」とするルールは見当たらないため、準拠していると断言できるものではありません。
なお、臨海セミナー側は「内部告発者を名乗りカナガクならびに株式会社ステップへ「リスト」(個人情報に該当するかは現在調査中です。)並びに社内機密情報を提供した人物を特定いたしました」と明言。
告発者は「株式会社ステップの元職員で、株式会社ステップから転職してきた神奈川県内の教室に勤務する弊社男性職員であり、情報提供の痕跡が複数発見されている状況」だとして、申入書の幹事社となっているステップを激しく非難しています。
臨海セミナーの抗議文にはこの内部告発を「ステップの『産業スパイ』に陥れられた」事案と考えているかのような表現も見られます。
どのような意図・目的で行ったのか等に関しては現在調査中となっておりますが、大変残念な事案であることは間違いなく、もしそのような行為につながるような働きかけを行った人物や組織があったとしたら、二度とそのようなことを行わないよう切に願ってやみません。
(12_10の報道に関して|学習塾 臨海セミナーより引用)
告発が事実であれば「合格者水増し」である以上に、未成年者の個人情報の取り扱いにも関わる極めて機微な問題。一刻も早く子供たちのプライバシーがどのように扱われていたのか、完全に明らかにすることが求められます。
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