大学入学共通テスト会場の「検温禁止」が話題に、禁止理由は「無用の不安感や動揺を与える」ため



いよいよ試験日まで1ヶ月を切った大学入学共通テスト。ですが、ここに来て全国的に感染爆発と医療崩壊のニュースが乱れ飛んでいます。


そうした中で、試験会場での「検温禁止」の措置が話題になっています。詳細は以下から。

現在、私たちが繁華街のレストランやデパート、ショッピングモール内のお店に入る際には少なからずサーモグラフィや非接触型体温計などによる検温が行われており、37.5度を超えている場合は入店を拒否されるケースもあります。

言うまでもなくこれは新型コロナの感染拡大防止のために行われているもので、感染が疑われる人が室内にウイルスを持ち込み、新たに感染が広がることを事前に防ぐための措置です。

◆大学入学共通テストの試験会場は「検温禁止」
ですが、2021年1月16日と17日に実施される大学入学共通テストではこの検温が全国一律で禁止されることが話題となっています。

この方針自体は今決まった話ではなく、大学入試センターの11月6日付の令和 3 年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト 新型コロナウイルス感染症予防対策等についてで発表されたもの。


この文書には試験を実施するにあたっての感染拡大防止策が細かく書かれているのですが、「3.試験場入場時等の対応」の試験場入場前の対応の部分(pdf8ページ)に検温を行わない方針が明記されています。そこでは

非接触体温計などによる検温については、新型コロナウイルスの特性として熱の高低での識別が難しいこと、検温実施のために密空間が生じるおそれがあることなどから、必ずしも全員に一律に行う必要はないこと。



とされており、税関や全国の各種店舗で行われている検温の意義を否定してしまっています。また上記文章は「一律にやらなくてもよい」のかと読めますが、すぐ下の補足説明文では明確に禁止しています。
共通テストにおいては,どの試験場も,試験場入場時におけるサーモグラフィ等による受験者の検温を行わないこと。


◆検温しない理由は受験生に「無用の不安感や動揺を与える」ため
この理由については配布資料4という別添資料に記載されているとのことで、確認してみましょう。

すると「入国やイベント会場等への入場」時の検温の意義については、感染可能性のある人の選別のための「一つの有用な手段」認めており、上記文章と矛盾します。


加えて、この文章を受けてなぜか検温が受験生に「かえって無用の不安感や動揺を与える」と結論付けています。

一方、自主検温も行い、これまでの努力の成果を試す重要な機会に際し、万全の体調で臨んでくるであろう受験者については、入場時の検温を実施することによって、かえって無用の不安感や動揺を与えるおそれ。


その理由として挙げられているのが以下の2点。

・当日の気温や服装、検温器の精度などにより、体温が左右される
・個々人の適正体温の違い など


とのことですが、これはどこで行われる検温でも同じことで、試験会場のみがこうした理由で一律に検温を禁止する理由にはなりません。

大学入学共通テストが受験生にとって「これまでの努力の成果を試す重要な機会」であり、今後の人生を左右する極めて重要なテストであることは言うまでもありませんが、それが検温という極めてスタンダードな感染可能性のある人の選別を行わない理由にはなりません。

例え私語禁止を徹底しようとしたところで、会場の数百人から数千人規模の高校生らの行動を完全に統制することは事実上不可能であり、ドアノブや洗面台など、本人が気付かない場面での拡散も十分あり得ます。


感染拡大防止のために発熱・咳等の症状を申し出た受験者に対しては別室対応や追試での対応も行う以上、感染可能性のある人はしっかり見つけた上でそちらで対応するのが筋。そのためにも試験会場への入場時点での検温は必須のはずです。

多くの受験生にとっては2次試験という本番が控えており、私大を受験する生徒も大勢います。受験の「最初の関門」であるこのテストでクラスターが発生すれば、より多くの受験生の「これまでの努力の成果を試す重要な機会」が奪われてしまうことにもなりかねません。

◆現在の深刻な感染爆発に伴い話題に
この「検温禁止」は試験日を1ヶ月後に控えた12月16日のNHKの報道で触れられたことからネット上で疑問の声が上がりました。

感染が落ち着いている時期であれば特に問題にならなかったかもしれませんが、日本では11月以降急速に「第3波」が爆発的に拡大している現状があります。

鳴り物入りの「勝負の3週間」で名実ともに敗北し、クリスマスから正月休暇に入ればさらなる感染拡大も起こり得る情勢であることから、この問題が再度注目されることになっています。

むしろ「検温禁止」とすることで発生する試験会場での感染リスクが、かえって受験生の不安や動揺を誘う結果となってしまうのではないでしょうか。

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