高須院長の「大村知事リコール」で現職政治家らの名前の無断使用が発覚、刑事告訴も



すでに多数の不正が報告されている、高須クリニックの高須克弥院長と名古屋市の河村たかし市長らが主導した大村秀章愛知県知事に対するリコール運動。

なんと現役の市長や県議、市議らの名前の無断使用まで報告されるという無茶苦茶な事態となっています。詳細は以下から。

◆「大村知事リコール」署名に無断で現職政治家らの名前が使用される
中日新聞によると、自民党系の愛知県議の神谷和利氏は「大村知事リコール」で名前の無断使用が発生していることを知り、個人情報の開示を請求したところ名前の無断使用が発覚。神谷県議は憤りを隠せず中日新聞に「刑事告訴も頭にある」と述べています。

同じく自民党系の愛知県議の杉江繁樹も名前の無断使用が発覚。こちらも「真相を究明してほしい」と警察に被害を伝えたことを明らかにしています。

また碧南市で自民系市議13人全員が開示請求したところ、小林晃三、新美交陽、磯貝忠通の3市議の名前の無断使用が発覚。その中の小林氏は署名集めをする「受任者」の欄にまで名前が使われており「ひどい。誰がやったか想像もつかない」と語っています。

田原市の山下政良市長も開示請求により名前の無断使用が発覚。住所と生年月日も書かれていることに「誰が書いたか分からないが大変遺憾」と語っています。

「大村知事リコール」の不正疑いは多数の現役政治家の名前の無断使用の発覚により、すでに疑いの域を超えて確定したことになります。

◆県選管は全署名調査へ、不正は刑事告発も
こうした事態を重く見た愛知県選挙管理委員会は21日、全署名を調査し、有効と認められない署名数などを確認することを決定しており、署名簿を保管している各市町村選管に協力を依頼しています。

ただし市町村選管では同一人物によるとみられる署名や指印、選挙人名簿に登録のない名前や重複などを調査するのみとのこと。ただし署名簿に書かれた本人ら聞き取りはしないため、すべての不正署名や名前の無断使用が明らかになるかは不明です。

なお、リコールで不正署名が確認された場合には県警への刑事告発も検討しているとのこと。

大村知事は21日の会見で「民主主義の根幹を成す制度がゆがめられてはならない。事実関係を明らかにしてほしい」と語っています。

◆高須院長らは住民訴訟へ
こうした中、高須院長と河村たかし市長が代表を務める「減税日本」所属の市議3人は大村秀知事に対し、「あいちトリエンナーレ2019」で芸術監督を務めたジャーナリスト津田大介氏らに計約3000万円の損害賠償を請求するよう求める住民訴訟を名古屋地裁に起こしました

訴状では、企画展「表現の不自由展・その後」を「特定の政治思想を含む作品の展示で社会問題化した」と指摘し、文化庁が減額した補助金や、企画展の会場警備費などを津田氏らに賠償させるべきだとしています。

高須院長や河村市長はこの企画展に「昭和天皇の肖像を使った創作物を燃やす映像作品」などがあったことを以前から問題視しており、2020年の7月には愛知県議会に「大村知事の不信任決議を求める請願」出したものの全員一致で不採択となっています。

◆そもそも「昭和天皇の肖像を使った創作物を燃やす映像作品」とは?
では「大村地理事コール」の発端となった「昭和天皇の肖像を使った創作物を燃やす映像作品」とはいったいどんなものなのでしょうか?見ていきましょう。

槍玉に挙げられているのは大浦信行さんの映像作品「遠近を抱えて PartII」。なお、ここに天皇制への批判がまったくないことは大浦さん本人も明言しています。毎日新聞のインタビューでは

天皇が燃えているシーンは新作映画の方に入っています。これは昭和天皇の肖像といいますか、私が1986年に富山県立近代美術館の展覧会に自画像として出した、天皇のコラージュを含む版画「遠近を抱えて」の一部が燃えているものです。


と答えています。これは、富山県立近代美術館事件として知られる表現の自由を巡る極めて重要な事件に関するもので、artscapeでは以下のように説明されています。

富山県立近代美術館の企画展「とやまの美術」(1986)に招待された美術家の大浦信行が、1982年から85年にかけて昭和天皇の図像を部分的に引用して制作した版画連作《遠近を抱えて》全14点が、同展終了後に県議会の教育警務常務委員会で議員によって「不快」と糾弾されたことをきっかけに、右翼団体による抗議活動を招き、これらを受けた同館が同作の非公開と売却を決定し、なおかつ同展の図録を焼却した事件。

富山県立近代美術館事件 _ 現代美術用語辞典ver.2.0より引用)


つまり、大浦さんの作品が右翼議員や右翼団体によって「不快」と抗議されて美術館が同作の展示を取りやめて売却。そしてここが重要ですが、美術館は「当の昭和天皇の肖像画が含まれる図録」を焼却処分にしたのです。

つまり「遠近を抱えて PartII」は表現の不自由展という場の中で「いったい最初に昭和天皇の写真を焼いたのは、そして焼かせたのは誰か」を問うていることになります。

大浦さんの考えと上記事件についてはVICEの動画でのインタビューが秀逸なため、こちらも併せてご覧いただくとより理解が深まります。

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