フェイク拡散「カオス求める不誠実な保守派」が中心、「不正確」ラベルやファクトチェックも効果薄



現在SNSなどで行われている対策をぶち抜いて、不誠実な保守派がフェイクニュースを拡散している状況が明らかになりました。

こうした層はニュースが真実かどうかに関心がなく、現在行われているフェイク対策の効果が大きくないことになります。詳細は以下から。


デューク大学のAsher Lawsonさんがジャーナル「PsycNet」に発表研究によると、フェイクニュースを拡散するかどうかは政治的な立場に加えてその人の性格が影響しており、重要なのが「誠実さ」でした

研究では4642人の被験者を対象に、まず政治的なイデオロギーと誠実さを計測。その上で新型コロナについての真実とフェイクのニュースを読ませ、正確さを判定してもらいました。


追ってそれらのニュースをSNSでシェアしたいか質問したところ、リベラルも保守派もフェイクニュースを真実だと思い込むことがありました。これは自分の信念と合っていたため、真実だと考えようとする働きとみられるとのこと。

ですが、その中でも誠実さの低い保守派ではフェイクニュースを拡散する割合が、誠実な保守派やリベラル、不誠実なリベラルといった他のグループよりも明らかに高かったことが判明しました。

次に政治的な色合いの強いフェイクニュースを読ませたところ、この「不誠実な保守派」の集団がより頻繁にフェイクニュースを拡散する傾向が見られました。

研究者らは、この不誠実な保守派のどのような要素がフェイクニュース拡散に影響するかを知るため、彼らの「混沌への欲求」「社会的・経済的問題への保守的思想への支持」「ドナルド・トランプへの支持」「既存メディアへの信頼度」「SNSの利用時間」などを調べるアンケートを実施します。


その結果、不誠実な保守派が顕著に示したのが、既存の政治的・社会的制度をめちゃくちゃにぶち壊したいという「混沌への欲求」でした。これは自分の考えや集団の他社への優位性を主張したいという根源的な欲求を反映しているものだとのこと。

こうした欲求を抱えた不誠実な保守派には、現在多くのSNSで取られているニュースへの「不正確」ラベルは大きな意味を持ちません。

続きの実験で正確か不正確かをラベルしたニュースを読ませた際にも、不誠実な保守派は他のグループよりも頻繁にフェイクニュースをシェアしており、明示的にフェイクだと伝えてすら高い確率でシェアすることが判明しました。

多くの人は「その記事は不正確だ」もしくは「その記事はフェイクだ」とされれば拡散を思いとどまりますが、実際にフェイクニュースを最も拡散している不誠実な保守派は、記事が真実かどうかにあまり関心がないということ。


つまり、フェイクニュース拡散の主力となる層に対し、TwitterやFacebookが行っている「不正確」ラベルでの警告や、報道各社が行っているファクトチェック記事の効果が薄いことになります。

現在YouTubeなどでは反ワクチンの投稿を禁止するといった対策をしていますが、フェイクニュース全般に対して禁止や削除などの対策が必要になってくる可能性もあります。

とはいえ、思想信条や表現の自由を侵害することにもつながりかねず、フェイクかどうかを簡単に決定できないケースもあるため、この辺りの調整は非常に難しいことになりそうです。

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