無料で父親役を頼める「お父さんバンク」が物議、登録に資格不要でトラブルは当事者解決



子供への虐待や性暴力が問題となる中、見知らぬ大人に子供を預ける「お父さんバンク」が紹介され、ネット上で危惧の声が相次いでいます。詳細は以下から。


◆「お父さんバンク」報道に物議
日本テレビ「news zero」が報じた「お父さんバンク」がネット上で物議を醸しています。


お父さんバンクは子育てなどでサポートが必要な際に得意技のある「お父さん」役を無料でレンタルできるというもの。現在約50人が登録しており、スポーツや写真、DIYなどそれぞれが得意な分野を持っています。なお、お父さんとされていますが性別は関係なく、女性も登録可能です。


問題となっているのは、このお父さんバンクがあくまで信頼関係をベースにした無報酬のボランティアであり、登録に保育士などの資格も不要ということ。


喜び合いの世界観」を謳い、当たり前に地域で子どもを見守り育てていたかつての社会のあり方を目指し、お父さんバンクを「人間関係のはじまる場所」としています。

加えて「サービスではないので」として契約書や覚え書きを交わすこともなく、トラブル時も「責任の所在は当人どうしで話しあっていただく形にしています」と完全に丸投げ状態です。


◆無責任さや危険性の指摘
当然ながら無報酬のボランティアであっても、依頼主がいて依頼を受ける人がいる以上、確実にサービス提供に当たります。

また「支援サービスや人材派遣ではありません」と注意書きをしようと、お父さんバンクが依頼主と登録者を仲介している以上、サービス運営主体であることも否定はできません。

そうした中で、トラブル時に責任の所在を当事者どうしの話し合いで決めさせるのは、いわゆる「自己責任」そのもので、運営としては極めて無責任な姿勢です。

加えて登録者に資格を求めず、「性別、年齢、既婚・独身は問いません」としていては、品質や安全性が保証されないことになります。

2020年にはベビーシッターの大手マッチングサイト「キッズライン」で、男性シッターらによる複数の子どもへのわいせつ事件が発覚し、逮捕者も出ています。

不完全とはいえ、審査を通った大手企業の正規のベビーシッターですら性犯罪を起こしている以上、人間関係や信頼関係という聞こえのいい言葉でお茶を濁すのは無為無策でしかありません。

もちろん性犯罪だけでなく、子どもの突発的な行動での不慮の事故も十分に考えられます。そうした場合にどんな補償がされるのかも含め、公式サイトには説明がありません。

たとえ登録者たちが気心の知れたある種の「身内」であっても、その外にいる依頼者からは完全な他人であり、何より子どもたちが最も大きなリスクを負うことになります。

ネット上の意見は概ね「恐ろしい」「危うい」といったもの。








手放しで美談にしていいサービスとは言えなそうです。

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