【コラム】経団連「出勤者7割減見直し」提言→7割以上がテレワーク継続希望でした



経営陣と働く人々の間に深い溝があることが浮き彫りになっています。立場の違いにも見えますが、実は年代による分断かもしれません。詳細は以下から。

朝日新聞は11月8日に「テレワークなどで出勤者7割減「見直すべき」 経団連が政府に提言」とする記事を掲載。


これは経団連が政府の感染拡大防止策への提言の中で、コロナ対策で政府が呼びかけたテレワークなどによる「出勤者数の7割削減」について、「科学的な知見」を踏まえて見直すべきだとしています。

この提言はその後経団連の公式サイトにも掲載されました。


そこでは「新規感染者が増加したとしても重症者数は以前のようには増えないことも想定される」との前提のもとで、経団連は「社会経済活動を大きく制限する緊急事態宣言の発出は可能な限り回避するべき」と主張。

加えて「重症患者等が想定以上に増加した場合にも、臨時の医療施設の整備など、機動的な医療体制の拡充などにターゲットを絞った対策を実施すべき」と、第6派で重症者や死者が想定以上に増加しても限定的な対策をめざし、経済を止めないよう求めています。

これは経団連という立場を考えれば妥当な意見ではありますが、なぜかテレワークなどの出勤者数削減についても以下のように口を出します。

これまで人流抑制や接触削減の観点から、テレワーク等による出勤者数の削減が求められてきたが、今後は、「出勤者数の削減」目標について、科学的な知見を踏まえ、見直すべきである。

経団連:感染症対策と両立する社会経済活動の継続に向けてより引用)


自宅でできる仕事をわざわざ出勤して行うメリットは何か。経団連の十倉雅和会長は記者会見で「一律(削減)だと、いろんなところで経済活動を妨げる」としているのみで、「出勤者7割減見直し」の理由や利点についてなんら具体的に説明していません。

一方で、日本生命勤労感謝の日について7774人に対して行ったアンケートでは、テレワークが導入されてよかったと答えたのは全体の72%と圧倒的


またその理由も感染リスクの減少を抑えてトップに立ったのが「通勤時間が減少したこと」で77.1%と8割近くに達します。


そしてアフターコロナでもテレワークを継続したいかという質問にも73.1%が継続したいと回答しており、4人に3人近くがテレワークのままがいいと考えていることが明らかになりました。なお、この数字は年代が上がるとともに微減していきます。


なお、テレワークでのストレスとしては「出社しないとできない業務が多くある」とした人が19.4%でしたが、ダブルスコアで「コミュニケーションが取りにくい」がトップを飾りました。そしてこの傾向は40代から60代で特に多くなっています


つまりテレワークを止めたいと考えているのは、主にオンラインでコミュニケーションに不便を感じる中高年層という結果になりました。これは、経団連がテレワークでの出勤者削減を見直したいとした提言と大きく被るものです。

エッセンシャルワーカーを除けば不要な通勤がなくなり、7割以上が歓迎するテレワーク。出社するのは「出社しないとできない業務」があるとした2割弱のみが、必要のある時にするのがよりよい働き方なのではないでしょうか。

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