日々伝えられる気候変動のニュースの中で、北極圏で永久凍土が溶け出し、北極海が凍り付かなくなり、グリーンランドで雪ではなく雨が降り始めていることが伝えられています。
こうした気候変動が、かつての研究よりも数十年前倒しで起こっていくとする予測が出されました。詳細は以下から。
ジャーナル「Nature Communications」に掲載された最新の研究で、主に雪が降っていた北極圏の地域の多くで、このまま温暖化が進むと2060年代から70年代には主に雨が降るようになることが示されました。
研究を主導したマニトバ大学のMichelle McCrystall博士は、世界中の研究者らが導き出した最新の気候変動モデルによると、北極圏の温暖化は以前の予測よりはるかに早く進んでおり、降水パターンもより小さな温暖化に敏感に反応するとしています。
研究では、もし今後パリ協定の目標である2度以内に地球の温暖化にとどめられても、そして仮に1.5度以内を達成したとしても北極圏の降水パターンの変化は止められないとしています。
1.5度の温暖化だった場合でもグリーンランドやノルウェー海域では雨が主流となり、2度の温暖化では西部ロシアやヨーロッパの北極圏で雨が主流となります。これが現在の地球の状況に近い3度ともなると、北極海の太平洋側の多くの地域で雨が優勢となってしまいます。
仮に3度上昇したとしても冬には雪が降りますが、夏や秋に降っていた雪が雨に変わり、これまで雪で反射されていた太陽光がより地面に吸収されることになります。
それにより地面が暖められることで、温暖化が加速。実際にこれが現時点で北極圏で温暖化が進んでいる要因のひとつとのこと。
雪が溶けて流れ出せば洪水や地滑りなどの災害が増えるほか、現地の生態系は大きな影響を受けることに。また永久凍土の融解によるメタンガスの放出などでさらなる温室効果がもたらされる可能性もあります。
加えて、溶け出した氷が海に注ぐことで海面の上昇や海水温の急変をもたらし、世界的な影響につながる恐れも十分にあるとのこと。
多くの要因の絡まり合った気候変動を解き明かすことは現代でも極めて困難ですが、すでにその影響が起こり始めていることだけは認識しておいた方がよさそうです。
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