ドコモ6G向け「人間拡張」実現へ基盤開発、遠隔大型ロボット操作や過去の熟練技術の保存・再現も



アニメやSF映画でおなじみの巨大ロボットの操縦、そして過去に生きた達人たちのスキルの保存・再現という未来過ぎる技術への一歩が踏み出されています。詳細は以下から。


NTTドコモの報道発表によると、6G時代の新たな提供価値である「人間拡張」実現のための基盤をH2L、FCNT、富士通の技術協力を得て開発したそうです。人間拡張に関する基盤の開発は世界初。

このちょっと聞きなれない人間拡張というのは、6Gを特徴づける技術「超低遅延化」によりネットワークが神経の反応速度を超えることから、脳や身体の情報をネットワークに接続して人間の感覚を拡張することを指しています。この時点でかなりSFチックです。

ドコモ6Gホワイトペーパー」によると、ドコモがめざす人間拡張は「身体のユビキタス化」「スキルの共有」「感情の伝達」「五感の共有」「テレパシー・テレキネシス」を指しています。まさかのテレパシー・テレキネシスが出てきてしまいました。


この基盤では、上記のうち身体のユビキタス化およびスキルの共有の実現に向けて、他者間で動作を共有できるようにします。

この基盤は、動作を把握する機器(センシングデバイス)で取得した動作データを、動作を再現する駆動機器(アクチュエーションデバイス)を通して人やロボットにリアルタイムに伝える際、接続する人やロボット同士の身体データを比較し、差分を考慮しつつ動かせるもの。


この際に再現する動作の大きさを拡大・縮小できるため、大きさや骨格の異なる人やロボット同士も無理なく自然に動作を共有でき、また大きい動作からきめ細やかな動作を再現することもできるように。映画「アップルシード」のパワードスーツ、ランドメイトを思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。


またデバイスはネットワーク経由でこの基盤に接続できるため、さまざまな場所から遠隔で身体を拡張させられるようになります。「遠くの義体をハックする」ような使い方もできてしまいそう。


加えてセンシングデバイスで取得した動作データは本基盤上に蓄積できるため、これらの蓄積データに基づいて過去の人の動作を現代に再現することもできるとしています。

過去や現在などの時間に縛られずに動きを再現できるため、熟練技術を必要とする分野の後継者不足や、技術継承などの社会課題解決への貢献が期待できるとのこと。過去の達人たちの超絶技巧をロボットが再現というのはこちらもなかなかです。


加えてこの基盤は動作の共有だけにとどまらず、感情の伝達五感の共有にも拡張していく予定。これにより多様性を拡大し、ハラスメントなどの社会問題の解決に貢献し「あらゆる可能性が広がっていく社会『Wellbeing Society』」をめざすとしています。


五感の共有はメタバースなどの没入型VRで徐々に実現され始めていますが、感情の伝達というとSNSの「いいね!」やスタンプなどが思いついてしまうところ。6Gがどのようにこうした情報を伝えていけるようになるのかは興味深いところ。

はたして人間拡張の掲げる最後のテーマ、テレパシー・テレキネシスにまでたどり着くことになるのでしょうか。

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