渋谷区に続き世田谷区でも同性パートナー制度が本格始動します。それに伴い生命保険会社などでも新しい動きが始まっています。詳細は以下から。
先日BUZZAP!では先日、渋谷区が同性パートナーを公認する「パートナーシップ証明書」の発行受付を10月28日から開始し、11月5日に交付することをお伝えしましたが、世田谷区でも同性カップルの「宣誓」に基きパートナーとして認める「パートナーシップ宣誓書」の受付が11月5日から始まります。
「パートナーシップ宣誓書」は同性カップルが世田谷区にパートナーであることを宣誓すると、即日受領証書が交付されます。渋谷区の「パートナーシップ証明書」が条例にもとづいているのと違い、自治体の事務の目的や手順を示した「要綱」によって発行される宣誓書であるため、不動産業者や病院などへの強制力はありません。
自らも性同一性障害をカミングアウトしている上川あや世田谷区議は、宣誓書の受領証書の発行数が行政に把握されることなどからニーズの可視化の重要性を指摘します。さらに、「議会を通す条例化はハードルが高いでしょうが、『世田谷方式』はどの自治体でもできます」としており、今後の地方自治体による同性パートナー制度のモデルケースのひとつとなっていく可能性も。
こうした世論の変化を受けて機敏に動き出しているのは携帯キャリアや生命保険会社。ソフトバンクとワイモバイルが既に同性カップル向けの家族割を導入していたことはBUZZAP!でも報じましたが、渋谷区と世田谷区の同性パートナー制度開始に伴いドコモのファミリー割引も適用されるようになります。
そしてライフネット生命保険は11月4日から条件を満たした同性のパートナーを死亡保険金の受取人に指定できるようにすることを明らかにしています。
ライフネット生命保険の取り組みの画期的なところは、渋谷区や世田谷区の同性パートナー制度を一切利用しないこと。求められているのは
・同居の事実を確認するための住民票の提出
・当社所定のパートナー関係を確認する書面のご提出
の2点のみ。FAQでの「渋谷区が予定しているパートナーシップ証明書は、パートナー関係を証明する書類の1つになりますか?」という質問に対しては
各自治体が発行する書類は自治体毎に内容が異なるため、当社の保険申込時のパートナー関係を証明する書類としての取り扱いはいたしません。当社所定の確認書にパートナー双方の署名、捺印をいただき、提出していただきます。
との回答。これがどういうことかというと、同性パートナー制度の存在する渋谷区民や世田谷区民でなくとも日本全国の同性カップルが利用できるということで、非常に画期的。地方自治体の取り組みを企業が軽々と追い越していったということになります。
この辺りは各携帯キャリアの取り組みでも差がでており、先ほど紹介したソフトバンクとワイモバイルでは既に同一住所という条件のみで家族割を適用していましたが、KDDIやドコモの場合は「地方自治体などが発行する同性とのパートナーシップを証明する書類」を持っているユーザー限定となり、今のところ恩恵を受けられることになるのは渋谷区と世田谷区で同性パートナー制度を利用したユーザーのみと限定されます。
LGBTは人口の5~10%を占めると言われていますが、容易に居住地を変えたりカミングアウトして制度を利用できない(もしくは「しない」)カップルも存在しているはずであり、「どういった条件や手続きを以って同性パートナーとみなすのか?」という基準の策定が各企業のサービスや製品の選択に大きな影響を及ぼしそうです。
東京)同性カップルの宣誓書、5日から受け付け 世田谷:朝日新聞デジタル
保険金受け取り、同性パートナーも ライフネット生命:朝日新聞デジタル
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