Photo by Usodesita
日銀のインフレ目標が達成できない責任は若年層にあると日経が盛大に誤爆しています。詳細は以下から。
「若者の〇〇離れ」、そんなフレーズが数年前から繰り返し用いられ、若者たちが前の世代に比べて消費しなくなったことが嘆かれ続けています。高価な自動車やバイク、音響機器にブランド品など、バブル世代が夢中になったようなモノに若者たちは目を向けません。
日経新聞はそんな若者たちの消費をしない傾向を、日銀の黒田総裁らが目指す物価2%の目標に達するメドが立たないことのやり玉に上げています。いったいどういうことでしょうか?
日経は30歳未満の可処分所得が99年から14年間で2%増加したこと、そして貯蓄率が15.7%から30.9%へと倍増したことを挙げます。全年齢平均の貯蓄率の上昇幅が5.8%であることから、若者がお金を貯め込んでいるように映ることから消費低迷の批判のやり玉に上がるのだと述べています。
しかし、少子高齢化で今後現役世代の負担が爆増し、介護や育児を始めとした社会保障が次々と削られ、非正規雇用であれば正社員への道は極めて狭いものへとなり、正規雇用であっても過労やリストラでいつ働けなくなるか分からず、場合によっては数百万円にも上る奨学金の返済を抱え、いったいどのような理路を辿れば外車や高級ブランド品などに金を使おうという気になるのでしょうか?
努力してもムダな仕事が「若者の貧困」を生む _ 災害・事件・裁判 _ 東洋経済オンライン _ 経済ニュースの新基準
23歳を自称するこの記事の筆者は「若者がお金をためるのは魅力的な『モノ』がない裏返しではないか」と推測しますが、まったくもって的外れ。単純にお金がないのです。例え多少稼げていたとしても、その時に稼いだお金を目の前の趣味や嗜好品に当てられるだけの将来的な保障となるセーフティーネットがみるみるうちにズタボロになっている有様を目にしていれば、どう考えても貯金に回します。
筆者は「インフレを知らないからお金を寝かしておくリスクにも実感がわかない」と指摘していますが、保障のない状態で消費してしまうリスクの方がはるかに甚大なため、貯金という形でマネジメントしているに過ぎません。むしろ上の世代よりも厳しい現代日本の社会状況にしっかりと適応していると言えるでしょう。
「金の若者離れ」「将来的保障の若者離れ」が進む中、それでも若者に消費をさせたいのであれば、最低賃金を上昇させて若者に金を回し、20代から慎重に将来に備えなくてもいいように正規雇用を充実させると共に結婚や出産などに目を向けられるよう社会保障を充実させるしかありません。
ある社会の労働者は同時にその社会の消費者でもあるという自明の理に気付かなければ、日銀の黒田総裁が目指す物価2%の目標は永遠に達成されることはないでしょう。
インフレ知らず悲観的…物価2%、ゆとり世代が壁:日本経済新聞
(Photo by Usodesita)
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