デマやヘイトを平気で垂れ流すことから全国紙としての信用を大きく失い、「まとめサイト・産経ニュース」とまで揶揄される産経新聞が本格始動させた英語サイトが、いきなり酷いことになっています。詳細は以下から。
産経新聞の記事を中心に英語で発信する新しいニュース・オピニオンサイト「JAPAN Forward」が6月1日に正式にスタートしたことが報じられましたが、大方の予想に反することなく、極めて恥ずかしいことになっています。
「日本」を発信する英語サイト ジャパンフォワード本格始動 - 産経ニュース
産経新聞といえばアパルトヘイトを肯定する曾野綾子のコラムを掲載したり、都知事選の際にネットのデマを裏も取らずに拡散するなど、報道機関としてあるまじき行為が続いており、反省の色もないことでおなじみのメディア。
そんな産経新聞が英語で何を発信するのでしょうか?記事によると「北朝鮮による拉致や歴史認識の問題、緊張が高まるアジアの安全保障問題のほか、日本の伝統文化や現代カルチャーなど、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、等身大の日本の姿を正確な英語で発信する方針」とのことで、産経新聞本体が行っている「歴史戦」がこちらでも展開されることが予想されます。
なお、運営は一般社団法人ジャパンフォワード推進機構で、2年間でフジ・メディア・ホールディングス代表取締役社長を退いて憶測の飛び交った太田英昭氏が代表理事を努めます。太田代表理事は記事内で、JAPAN Forwardが目指すものを「国益を基本に据えた健全なジャーナリズム」としていますが、この「国益」とやらがいったい何を指すのか、嫌な予感しかしません。
実際にJAPAN Forwardのサイトを見てみると、トップに現れるのは社説の「Now Who’s Lying About the United Nations Special Report?」という記事。
これは記事末の注意書きから「【主張】国連特別報告 嘘まき散らすのは何者か - 産経ニュース」の英訳であることが分かります。
タイトルから国連の特別報告者を嘘吐き扱いするというとんでもない内容ですが、冒頭から彼らの報告について「anti-Japanese criticism(反日批判)」や「unfair criticism(不公平な批判)」などという一方的な侮蔑を投げつけています。
英語の読める人には居たたまれなくなるような文章がその後も延々と続き、一部ネット民が従軍慰安婦問題の挙げ足取りにこれ見よがしに使う「吉田証言」の話を誇らしげに持ち出してみたり、すでにテロ対策ではない事を与党議員すら認めている共謀罪を「テロ対策目的」とするなど、まとめサイトと大差無い内容に。
なお、産経新聞は国連の特別報告者に対する同様の批判記事を【国連反日報告】というシリーズ名で報じるなど、報道機関としてかなり問題のある姿勢。
さらに、JAPAN Forwardでは動画インタビューも掲載されていますが、その人物はRandom YokoことYoutuberの「愛国女子」Yoko Tadaでした。
彼女は「韓国・左翼陣営からのヘイト攻撃に立ち向かう国際派の若きリーダー」との触れ込みで著書「超人気ブロガーRandomYOKOの新・愛国論」を出版し、田母神俊雄の逮捕の原因となった都知事選で応援弁士を務めた人物。
「The Washington Post」誌の記者に自作曲をヘイトスピーチであると批判され(あまりに酷いためリンクは張りません)、関係者による差別的な発言などでおなじみの日本のこころを大切にする党や自民党の政治家とトークライブを行い、トランプ支持者を公言している人物、といえばなんとなく想像が付く人もいるかもしれません。
当然ながら国内国外どちらでも無名のため、産経新聞という大資本による最初のインタビュー記事の人選としては極めて不可解。上記のような行動が「等身大の日本の姿」とは断じて言えませんし、「日本への理解を深めてもらうのが狙い」であるとするなら、いったいどのような姿を外国人に見せたいのでしょうか。
「このサイトが知れ渡れば、国連の特別報告者の懸念が間違いではなかったことが世界に広く周知され、納得されることになる」という意味では良いことだという皮肉くらいは言えるかもしれませんが、それにしても絶句する酷さです。
「相手からどう見られているのか」を意識しない一方的な垂れ流しは一般的に独りよがりと呼ばれるもの。今までは言語の壁によって日本国内で完結するだけにとどまっていたものをあえて英訳して世界に垂れ流した結果、日本人がどのような目で見られるのか、それは本当に「国益」なのかを考えられる人物がスタッフの中にいなかったことが、非常に残念です。
Japan Forward
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