「法整備がまだで影響も分からないから」日本がG7の「海洋プラスチック憲章」への署名を米と共に見送り


Photo by Peretz Partensky

日本は世界に名だたる海洋国家だったはずですが…。詳細は以下から。


◆プラスチックごみによる海洋汚染への対策を促す憲章への署名見送り
領土の全てを海に囲まれている海洋国家日本。海から捕れる豊かな海産資源は、寿司の例を挙げるまでもなく日本の豊かな食文化を形作る重要な要素でもあります。

ですがその海に関し、現在深刻な問題となっているプラスチックごみによる汚染への具体的な対策を各国に促す合意文書に、日本はアメリカ合衆国と共に署名を行いませんでした。

年間800万トンものプラスチックごみが海洋に投棄されている現状は、世界各国の漁業活動や地球の7割を占める海の生態系にも大きな影響を及ぼすことが懸念されています。

先日もタイに打ち上げられて衰弱死したクジラの胃の中から80枚余りのプラスチック製の袋をはじめ、重さにして8kg余りのプラスチックごみが見つかった事が世界中で大きな衝撃をもって報じられたばかり。


そうしたタイミングで開催されたG7では、6月9日に拡大会合でこの問題を協議し「プラスチックごみの問題は世界全体の課題として対処する必要がある」と指摘。海洋の保護と持続可能な漁業の実現、沿岸部のコミュニティへの支援などを各国に促す「海洋プラスチック憲章」をまとめたのです。

しかし日本はアメリカ合衆国共にこの憲章への署名を見送ってしまいました。日本政府はプラスチックごみを減らしていく趣旨には当然、賛成しているが、国内法が整備されておらず、社会にどの程度影響を与えるか現段階でわからないので署名ができなかったと見送りの理由を語っています。

ですが国内法が整備されていないのはある意味当然で、この憲章はそうした法整備を促していくためにまとめられたもの。社会への影響についても、当然法整備の中で日本の社会の現状や海との関わり方を丁寧に検証していく中でしか浮かび上がらせることはできません。

日本側の提示した「理由」は、そうした意味で完全に本末転倒なものとなってしまっています。

◆世界をリードすべき海洋国家としての日本
先に述べたように、日本は領土の周囲を全て海で囲まれた島国であり、古来より多くの水産資源を利用して生活の糧とし、文化を育んできました。

海外からの捕鯨反対の声に少なからぬ日本人が「日本はクジラの油を取るだけでなく、骨やヒゲに至るまで全てを活用してきた」と反論してきたように、日本人と海との関わり方は一言で語り尽くせるような薄っぺらなものではありません。

ですが残念ながら、日本は福島第一原発事故によってその海に放射性廃棄物を含む汚染水を流出させ、現在に至るまでアンダーコントロールと言えない状況が継続しています。

稲田元防衛相は6年前に奇しくも世界中で日本だけが道義大国を目指す資格があると述べました。


であればこそ、まずは手の付けられるところから海を守り、海と共に生きる人々を支えていく活動をしていく事が日本の道義的責任と言えるのではないでしょうか?

(Photo by Peretz Partensky

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