東京五輪ボランティア、ついに中高生まで「学徒動員」へ



もはや予科練や挺身隊と言った方が正確でしょうか…。詳細は以下から。


◆ブラックボランティアとして絶不人気の五輪ボラ
東京五輪組織委員会が2020年4月1日時点で18歳以上であることなどを条件に募集してきた大会ボランティア。既に酷暑の下でこき使われるブラックボランティアとの悪名が轟いていることはBUZZAP!でも繰り返しお伝えしているとおり。

そんな中で人の集まらない五輪ボランティアに学生を動員するため、スポーツ庁と文部科学省が全国の大学・高専に五輪に合わせて授業や試験をずらす要求する通知を出したことで「学徒動員」と批判と揶揄の声が上がっていました。

◆中高生までも動員へ
それでも人が集まらなかったようで、組織委が新たに「中高生枠」を設ける方針であることを日経新聞が報じています。それによると組織委は「次代を担う若年層がボランティア活動を体験することは教育的価値も高く、有意義と判断」したとのことで、関係者も「各方面から要望が多かった」と述べています。

もちろん各方面というのがどの方面であるかは不明ですが、自発的に志願することがボランティアの本質であり、わざわざ枠を作って(暗にであれ)参加を「強要」するのであれば、そこにボランティアとしての教育的価値はありません。

なお、中高生ボランティアの役割は、競技会場や選手村などで運営に関わる大会ボランティアよりも限定的とのこと。具体的には競技会場の内外での観客の誘導、サッカーやテニスのボール拾いやバスケットボールコートのモップがけ、入場待ちの観客に向けた楽器演奏などが検討されているのが現状です。

体よく隙間を埋める雑用係といったところですが、大人に比べてまだ身体のできていない中高生を炎天下でこき使った場合の熱中症などの危険は比較になりません。

◆ボランティアでなくてはならない危険な「理由」
何が何でも若者を絶対に無賃労働させようという強い意志が感じられますが、ネット上などではボランティアでなくてはならない「理由」について極めて興味深い考察がされています。

それは、賃金を払って雇用関係を結んだ場合、そこには賃金だけでなく明確な労使関係が発生します。労働基準法での待遇や労災など、雇用された場合には被雇用者を保護する条項が(ブラック企業などでは十分機能していないとはいえ)存在しています。

つまり、ボランティアとして集めて雇用関係を結ばない場合には、結んだ場合と比べて責任の所在が曖昧となり、例えばボランティアが熱中症で倒れた場合などでも使用者側の責任が問われにくくなる可能性が大きいと言わざるを得ないのです。

「金も払わなければ責任も取らないためのボランティアではないか」という考察は果たして穿った見方なのでしょうか?

自己責任論がいまだに大手を振っている日本で、仮に東京五輪ボラで倒れたら「労災がないのも分かっていて応募したはず。自業自得で倒れただけなのに五輪に水を差すな」という批判が沸き上がるのは十分に想定できること。

子供の命と健康を守るためには、例え本人が望んでも参加させるかについてはじっくり家庭で話し合う必要がありそうです。

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