公正取引委員会がフェイクニュースやヘイトスピーチのインターネット上からの排除をGAFAらに要望です。詳細は以下から。
◆公取委員長「プラットフォーマーはフェイクやヘイトはネットから排除を」
公正取引委員会の杉本和行委員長が9月18日、日本記者クラブでGAFAを筆頭とする「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大IT企業はフェイクニュースやヘイトスピーチを排除する仕組みをつくるべきだとの考えを明らかにしました。
杉本委員長は会見の中で、インターネット上に流れる玉石混交の情報について「クオリティーというものを、これから考えていく必要があるのではないか」と問題提起。
その上で「フェイクニュースやヘイトスピーチ的な情報、犯罪をあおるような情報などが流れれば、その情報に接した人に不利益になる」と懸念を示しています。
杉本委員長はさらに「信頼できない情報を流す情報提供先が排除され、良質な情報を流すところが選択される」ことが大切だとし、プラットフォーマーに対して「意図的に虚偽情報を拡散した人が締め出される枠組みを考える必要がある」と指摘。
これに加えて「(市場競争を促進させるための)競争政策としてどういう枠組みを適用するのか、考えていく必要があるかもしれない」とも述べています。
◆公取委は独禁法を根拠にGAFAらを監視
公取委は現在ネット通販や検索、SNS、動画配信サービスなどで支配的なシェアを誇るGoogle、Amazon、Facebook、Appleら「GAFA」を筆頭とする、プラットフォーマーと称される巨大IT企業に対する監視を強めています。
2019年8月にはこうした企業が利用者からの同意を得ずに性別や職業、ウェブ閲覧履歴や位置情報などの個人情報を収集・利用した場合に独占禁止法が禁じる「優越的地位の乱用」にあたるとのガイドライン案をまとめています。
◆フェイクやヘイトがネットにもたらすもの
今回のフェイクニュースやヘイトスピーチ排除の要請はこれまでの寡占・独占への対抗策とは若干違った観点からの話となります。
現在ツイッターやYouTube、Facebookなどでヘイトスピーチ混じりのフェイクニュースが拡散され、検索エンジンの検索結果や予測検索もこうした「信頼できない情報」に汚染されていることは既に指摘するまでもありません。
こうした状況下で、ネット上の巨大サービスを運用するプラットフォーマーに意図的なフェイクニュースやヘイトスピーチの発信者及び拡散者の排除を求めるのは道理といえば道理です。
ネット上の情報の質に関して「悪貨が良貨を駆逐する」という状態がここ数年で急速に広がっていることはトランプ大統領が誕生した際の大統領選挙に関して以前BUZZAP!でもお伝えしたとおり。
もちろん日本もこうした風潮の例外ではなく、むしろ閣僚クラスの与党政治家や全国規模のメディアまでもが率先してフェイクニュース発信しているようなケースも少なくありません。
真偽不明の情報が初見のインパクトだけで大規模に拡散されて人々を分断し、場合によってはそれが特定の属性を持つ人々への差別を煽動するとしたら、ルワンダの「千の丘ラジオ」を発端とした民族浄化に勝るとも劣らない惨劇を生む可能性も十分にあります。
インターネットという存在が誰にとっても当たり前のものとなってから20年余り。誰もが自由に発信できるという革新性は多くのイノベーションをもたらしましたが、膨れあがる負の側面への対策もしっかり行うべきタイミングが来たということになります。
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