風営法に関する各政党、都知事候補の見解を求めた公開質問状の回答が公表される


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風営法からの「ダンス規制」の撤廃を目指すLet's Dance署名委員会とLet's Dance法律家の会は衆議院総選挙及び東京都知事選挙を前に風営法に関する公開質問状を送付、各政党及び都知事候補から回答を受け取り公表しています。


12.16投票に行こう!総選挙・東京都知事選  ステイトメント Let's DANCE レッツダンス署名推進委員会 風営法からダンスの項目削除を求めます。

なお、この公開質問状は都知事候補者宛には11月23日に送付され、告示日前日の11月28日までに回答のあったものを公表。各政党宛にはは11月27日に送付され、公示日前日の12月3日までに回答のあったものを公表。選挙戦直前の多忙な時期であったこと、政党によっては合流、再編などが行われていたことなどから回答なしとなっている候補者、政党もあります。

果たして各政党、都知事候補者はどのような回答を行ったのでしょうか。

・衆議院総選挙

公開質問状の質問項目は以下の通り

<質問項目> 
以下おおむね200字前後で記入いただければ幸いです。

1 風営法のダンス規制について、撤廃すべきと考えますが、いかがでしょうか。

2 ダンス規制撤廃を目指す活動にご協力いただけますか。

3 ナイトクラブの深夜1時以降の営業を認めても良いと考えますが、いかがでしょうか?

4 ダンスカルチャーを中心とする文化発信の施策拡充にご尽力いただけますか。また、具体的にどのような施策をお考えか、お聞かせください。

  はい  いいえ
具体的施策の内容


各政党に対する質問状の送付とその結果について、以下のリンクからそれぞれの政党の回答を閲覧可能。

総選挙にあたって Let's DANCE レッツダンス署名推進委員会

質問が送付された16政党(その後合流などあり)のうち、ダンス規制を「撤廃」するべきであると明示的に回答している政党は日本維新の会社会民主党日本共産党新党日本の4党。これらの4党はナイトクラブの深夜1時以降の営業についても認めると答えています。

これまでの実績としては新党日本については代表の田中康夫衆議院議員がLet's Dance法律家の会のキックオフイベントに登場し、既にダンス規制撤廃に協力中となっており、日本共産党も塩川鉄也前衆議院議員と井上哲士参議院議員が9月に行われたLet's Danceの緊急企画に参加しています。

なお、幸福実現党は撤廃ではなく「規制のしすぎには反対」とのスタンス。民主党自由民主党公明党はそれぞれニュアンスは違えど「検討」してゆくという回答。自由民主党公明党に関しては回答の中に文化としてのダンスの有用性を認める記述も見られますが、法改正に関しては慎重な姿勢を取っています。

この公開質問状に対して「アンケートには答えられない」旨の回答を行ったのはみどりの風新党大地・真民主新党改革旧 減税日本・反TPP・脱原発を実現する党は「アンケートに回答する時間が取れないが、請願の主旨については全般的に賛同しております」との回答を行なっています。

12月3日までに無回答だったのは旧 国民の生活が第一みんなの党国民新党日本未来の党

回答のあった限りにおいてはダンス規制の撤廃について「反対」を唱える党はありませんでした。

・東京都知事選挙

公開質問状の質問項目は以下の通り

<公開質問項目>
1 風営法のダンス規制について、撤廃すべきと考えますが、いかがでしょうか。

2 ナイトクラブの深夜1時以降の営業を認めても良いと考えますが、いかがでしょうか?

3 貴殿が都知事に当選されましたら、風営法に基づく都道府県警察などによる行政上の指導について、「第101国会附帯決議」や解釈運用基準に基づき、国民の基本的人権を不当に侵害しないように行うことをご検討いただけますか。

4 貴殿が都知事に当選されましたら、ダンスカルチャーを中心とする文化発信の施策拡充を行っていただけますか。また、具体的にどのような施策をお考えか、お聞かせください。

はい  いいえ

具体的施策の内容


各都知事候補者に対する質問状の送付とその結果について、以下のリンクからそれぞれの候補者の回答を閲覧可能。

都知事選にあたって Let's DANCE レッツダンス署名推進委員会

都知事候補8人のうち、11月27日に立候補を表明した五十嵐政一候補を除く7人に公開質問状が送付されました。このうち、Let's Dance法律家の会の賛同人の宇都宮健児候補、トクマ候補、ドクター中松こと中松義郎候補、マック赤坂候補の4人はダンス規制について撤廃すべきだと回答。ナイトクラブの深夜1時以降の営業についても認めると答えています。

松沢成文候補は「新都知事就任後に改正の必要性、方向性を含め検討しております。」との表現に留め、笹川堯候補は「個別案件にお答えする事は控えたい」としており、明確な姿勢は打ち出していません。

また、猪瀬直樹候補は「アンケートには答えられない」旨の回答をしており、吉田重信候補は11月28日までに回答がありませんでした。

都知事選の候補においても回答のあった限りにおいてダンス規制撤廃について否定的な回答を行なっている候補はいませんでした。

このように、アンケートの回答としてはダンス規制撤廃を目指す風営法の改正についてネガティブな言説は現状では聞こえてきていません。もちろんこのアンケートには何ら法的な拘束力はありませんし、選挙前の公約やマニフェストが守られるかどうかは有権者の間でも意見の別れるところでしょう。

この状況から、選挙後に超党派で法改正の動きが始まる可能性があるとポジティブに捉えることも可能でしょうし、人気取りのためのリップサービスと見る向きもあるでしょう。判断するにはこのアンケートのみならず、これまでの実績や経緯なども考える必要はありそうです。

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