海に浮かぶペットボトルなどのプラスチックごみ。どこまでも漂流して流れ着くため長年問題になっています。この海のやっかいなゴミを一度に大量に除去できるマシンを19歳の少年が考案して話題になっています。
19歳のBoyan Slatさんが考案したのはOcean Cleanup Array。なんと725万トンもの海のゴミを除去できます。この装置は錨で係留されたごみ処理用のユニットの左右に巨大な張り出し棒のような浮きが接続されたもの。
このOcean Cleanup Arrayは自力で航行するものではなく、ゴミの多いエリアに固定されて大きく広がって待受け、巨大な漏斗のようにゴミを集めて処理ユニットに流し込みます。ここでフィルターによってゴミはプランクトンなどと分別されてリサイクル用に溜められます。
Slatさんは学校で海のゴミのサイズや量について調査するプロジェクトを立ち上げ、このOcean Cleanup Arrayの規格はオランダのデルフト工科大学の2012年のベストテクニカルデザイン賞を始めとする多くの賞に輝きました。現在Slatさんはこの技術を発展させるためにThe Ocean Cleanup FoundationというNPOの設立を目指しています。
彼のプロジェクトは多くの海洋生物の命を救ったりPCBやDDTといった汚染物質が生態系に入り込むのを防ぐことになるだけでなく、ビーチの清掃費用やごみ問題に起因する観光ビジネスへの損失、船舶への損害など、多くのコストを削減することにもなります。
Slatさんはそれだけでなく、海のゴミ問題の可視化が大切だと述べます。
「海のゴミ問題の予防の上での問題のひとつは、海にあるゴミはとても広いエリアに散らばっているからゴミが沢山捨てられていることをイメージしにくいんだ。このOcean Cleanup Arrayを使ってゴミを集めてみせることで、いったいどれだけのゴミが捨てられているのかを可視化できるようになる。それによってリサイクルへの意識を高めたりプラスチック製品の消費を減らしたりするモチベーションにつなげていく必要がある。」
こうしたゴミが効率的に集められることによって一部はまた資源として生まれ変わることにもなります。日本のガレキがアメリカ西海岸にも到達していることから分かるように、決して一国だけの問題で済む話ではありません。多くの国が協力して解決に当たれることを願います。
【追記】
本プロジェクトが現実に始動。2016年に世界で初めて日本海の対馬沖に設置されることになりました。
19歳の考案した「世界の海から725万トンのプラスチックを除去できる装置」が日本海の対馬沖に来年世界で初めて設置へ | Your News Online
19-Year-Old Develops Ocean Cleanup Array That Could Remove 7,250,000 Tons Of Plastic From the World’s Oceans Ocean Cleanup Array by Boyan Slat Inhabitat - Sustainable Design Innovation, Eco Architecture, Green Building
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