NYタイムズが大麻禁止の連邦法の撤廃を求める社説を掲載、世界中で大反響に

Photo by muyuy74

大麻解禁の動きが進むアメリカ合衆国で、NYタイムズ紙が現在大麻を禁止している連邦法を撤廃すべきだとする社説を掲載し、大きな反響を呼んでいます。詳細は以下から。

アメリカ合衆国のワシントン州、コロラド州でのレクリエーション用を含む大麻の合法化は日本でも大きな話題になりましたが、既に多くの州で医療大麻の解禁と非犯罪化が行われており、国民の過半数が大麻の合法化を支持し、オバマ大統領すら大麻合法化に反対しないと明言するなど、全体としての大麻合法化への気運が高まっています。

オバマ政権が「大麻の規制分類を議会が変更したいと考えるなら喜んで協力する」と表明 | Your News Online

オバマ大統領が「大麻が酒よりも危険だとは考えない」とインタビューで回答 | Your News Online

大麻合法化の支持がアメリカで引き続き爆増中、昨年から10％上昇して58％に | Your News Online

こうした状況の中、アメリカ合衆国を代表する新聞のNYタイムズ紙が編集委員会名義にて、現地時間7月27日付けで「Repeal Prohibition, Again」との題名で現在大麻を禁止しているアメリカ連邦法を撤廃すべきだとする社説を掲載しました。

The New York Times Calls for Marijuana Legalization - NYTimes.com

さっそくロイター通信がこの社説を動画ニュースとして報道するなど大反響が巻き起こっています。日本でも朝日新聞らが取り上げています。

「大麻禁止の連邦法、撤廃を」　ＮＹタイムズ社説：朝日新聞デジタル

この中でNYタイムズは40年前に議会がアルコールよりも危険の少ない大麻を禁止したことで社会に多大な害悪を及ぼしたと批判し、連邦政府は大麻を解禁すべきだと断じています。

NYタイムズは世論が大きく変化し、既に3/4の洲が医療大麻の解禁、大麻の非犯罪化、大麻合法化のうちどれかを行っていると指摘。しかし連邦法が大麻を禁止しているため、こうした実験的な試みの基盤を脆弱なものにしているとしています。

また、大麻の禁止は社会への社会コストが大きく、2012年だけで65万8千人が逮捕されており（コカイン、ヘロイン及びその派生物での逮捕は25万6千人）、しかも逮捕者が若い黒人男性に人種差別的に偏っており、次世代の潜在的犯罪者を育てることに繋がっているとします。

なお、健康な大人に対して依存性などを含め、タバコやアルコールと比べても大きな問題にはならないとしていますが、成長期の青少年への悪影響は払拭しきれいないとして、21歳未満への販売は禁止すべきと述べています。

また、前日に書かれたこの記事の前編とも呼べる下記リンク先の記事では、大麻がコカインやメタンフェタミンよりもより危険度が高いとされるスケジュール1に分類されていることなども実質と刑罰のバランスを欠くとして批判されています。

Let States Decide on Marijuana - NYTimes.com

ドラッグの危険度と刑罰のアンバランスさは現在日本で事故やその蔓延から大きな問題となっている「危険ドラッグ」の状況とも被ります。何が本当に危険でありコストを掛けて取り締まるべきなのか、他山の石とすべき問題と言えます。