リーゼントにガリ勉メガネ中学生コス、大阪府警の「NO!危険ドラッグ」広報ビデオの出オチ感がえらいことに



青少年にまで蔓延する危険ドラッグ。大阪府警が対策のために作成した広報ビデオの本気度が大きな話題を呼んでいます。


政府が危険ドラッグについての恐ろしさについて青少年向けにリリースした作品としては、「カイジ」シリーズの福本伸行が「政府広報オンライン」に書き下ろした短編漫画を以前BUZZAP!でも紹介し、大きな反響がありました。

「カイジ」の福本伸行が危険ドラッグの危険を描いた短編漫画が秀逸すぎると話題に | Your News Online

今回大阪府警が作成した「NO!危険ドラッグ」と題された広報ビデオは名前の通り、危険ドラッグの恐ろしさを知ってもらうための啓発用ビデオですが、大阪だけに単なる退屈な映像には終わりませんでした。

このインパクトは!! 警察官が体を張って「危険ドラッグNO!」 大阪府警が啓発動画 - 産経WEST

周知のターゲットとなっている中高生に親しみやすいようにということで、大阪府警の少年課員2人がなんと1人は巨大リーゼントの不良中学生、もう1人はガリ勉メガネの中学生のコスプレをして体当たりの演技で訴えかけています。配役設定が既に無茶ぶりな上にベッタベタです。だがそれがいいのです。


内容は、暇を持て余したリーゼント君が「ポリダッシュ」や「カゴダッシュ」をしようかと思いつく度にメガネ君にたしなめられ、「脱法ハーブ」でハイになることを思いついたところ、メガネ君渾身の反対をされるというもの。



どこの新喜劇かと思うような見た目や大阪全開のノリとは裏腹に、語られていることはもちろん至極まともです。動画は以下から。



大阪府警察 警察署等の各種イベントビデオ

危険ドラッグの危険性に関しては、お手軽に買えることはもちろんですが、「闇鍋」と呼ばれる「何が入っているか分からない」という部分についても、もう少し言及されるべきでしょう。これまで人類が人体で実験したことのない未知の物質が使われており、治療法も分からない場合があるということはいくら強調されてもされ過ぎということはありません。

ただ、出オチ感は素晴らしいのですが、最後の部分がしっかりオチていないように見える辺り、大阪の中高生がどう判断するかは気になるところです。

なお、この動画の中で引き合いに出されている症例に関しては、池袋の暴走事件に加えて以前ネット上で神奈川県警が例示したものも含まれています。このページは以前ネットで話題になったこともありますが、非常に大切なので引用します。

◆事件・事故
・上半身裸の男が小学校に乱入して小学生を追い掛け回した
・女子高生を車ではね死亡させた
・3階の自分の部屋から飛び降りて、下半身裸になり付近の塀やフェンスを壊し自分がした大便を食べた
・親から身体に異物を入れられたと思い、包丁で自分の腹を切り腸を引っ張り出した後、裸で街中を走り回った
・誰かに追われているような気がして、車両を暴走させ6件の当て逃げやひき逃げを繰り返した
・歩行困難となっていたため病院搬送しようとしたところ救急隊員に暴行
・車で自爆事故を起こし死亡
・ふらふらしながら住居侵入した

◆体調異変
・裸で部屋の窓から物を投げるなどして暴れていた男性が死亡
・20代女性がホテルで危険ドラッグを使用後に死亡
・おう吐後意識が無くなり病院搬送されるも死亡
・車の屋根に上って暴れ、その後意識不明となり病院搬送されるも死亡
・裸で路上で暴れ、その後意識不明になり病院搬送されるも死亡
・突然暴れだし意識不明となり死亡
・身体がしびれ、寒気、気持ち悪くなり暴れた後意識不明で病院搬送されるも一時心肺停止状態
・全身大便まみれで路上に倒れ、うめいたり叫んだりしていた
・へらへら笑った後路上に倒れ意識が無くなった
・おう吐後意識が無くなった
・液体と粉末状の危険ドラッグを口にし、腹痛としびれ、呼吸困難になった
・暴れながらおう吐し続けた
・「うー」とうなった後、口から泡を吹いて倒れていたが、その後「殺すぞ」と言って暴れだした
・危険ドラッグを約10年間使用していた男性が首吊り自殺で死亡
・50代男性が自宅室内で変死
・全身がけいれんし顔面蒼白となり、その後錯乱状態となった

◆幻覚・幻聴・妄想等の精神症状
・全裸でマンションエントランスで暴れて110番通報された
・自室で上半身裸となり、刃渡り20センチのサバイバルナイフを机上に置き、「殺し屋がいる、殺される」と大声で叫んで暴れた
・パンツ1枚で意味不明の言動をしながら個室ビデオ店の店内を歩き回った
・「やくざに追われている」などと言って警察に助けを求めてきた
・カーナビを設定すると警察に行くようにしか設定できないと言って110番通報してきた
「マンション6階の自分の部屋に知らない人が入ってきた」と言ってベランダ伝いに隣家に助けを求めた
・駅に行こうとして走ったがいくら走っても駅に着かないと110番通報してきた
・一時間くらい歩いたが数十メートルしか進まない
・暴力団に追われていると言って助けを求めてきた
・知っている人の声に導かれて屋根に上った
・時計とエアコンが私を殺すと言っていると言って助けを求めてきた
・壁際で怖い誰かが自分を見張っている
・監視カメラで見張られている
・漫画喫茶で床の隙間から男が入ってきたと、下半身裸で助けてくれと言って叫び大騒ぎした
・足にダニが入ってくると言って暴れた
・神のお告げがあったなどと言い出した
・吐き気をもよおし、その後ビルの屋上から飛び降りたくなった
・「大きなものが身体の中に入って来て押さえきれない。足が痛い」等と言って暴れた

神奈川県警察 危険ドラッグは「ダメ。ゼッタイ。」より引用)



敷居が低くだれにでも買える上に物質が何か分からず、治療法も不明な場合のある危険ドラッグ。麻薬や覚醒剤よりはるかに危険であるという事実が全国に広く周知されることが必要です。

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