11月11日に開かれた参院予算委員会でとんでもない発言が飛び出しました。詳細は以下から。
11月11日に参議院で予算委員会が開催されましたが、新党改革の荒井広幸議員から介護問題について驚くべき提案が行われました。なんと中高生全員に「ヘルパー3級」程度の介護の技能を持たせて授業の一環として地域で介護の「お手伝い」を行っていくというもの。
国会質疑での荒井議員の主張は以下のとおり。当該発言は動画の1:20頃と4:00頃から。
中学生高校生が全員ヘルパー3級程度の資格を取る。120時間授業で取れば、後は授業時間で地域や施設を訪問してお手伝いしていく。
全ての中学生高校生が授業時間の中にヘルパー3級程度取れるようにして、残りの授業時間を地域で貢献をしていく。ご家庭を訪問したり特別養護老人ホームで介護福祉士さんの下でお手伝いをしていく。本業の方は本当に自分がやるべきところ、専門家はそれをやり、子供たちがそれを支えてくれる。
【国会中継】新党改革 荒井広幸 - YouTube
このとんでもない妄言に石破茂地方創生担当大臣は「ご指摘には全面的に賛成するものであります」と賛同し、加藤勝信一億総活躍社会担当大臣も「一億層活躍社会に相通じる」などとして賛意を示してしまいました。
先日BUZZAP!でも報じた通り、ただでさえ現在の介護の現場は重労働である上に劣悪な労働環境の現場が少なくなく、今年4月に介護報酬が引き下げられた以降は他業種にも人材が流れていて施設によっては人手不足のため満室まで待機者を入所させられないケースもあるほど。
こうした状況の中で実務経験のない中高生が大量に流れこんでくることは、彼らを管理しなければならないプロの介護職員らの負担をさらに重いものにします。もちろん介護は赤の他人の命と生活、プライバシーまでをも預かる専門的な仕事であり「お手伝い」感覚で手を出していいものではありません。
またこの提案は全中高生に対する強制であるためボランティアとは呼び得ず、児童労働の強制にも当たります。この強制労働を「地域貢献」などの見目麗しい名目で行わせようというのは「国家ぐるみの児童虐待」と呼んでも差し支え無いでしょう。
介護報酬引き下げに伴う人手不足などで介護事業者の倒産が過去最多となっていることも報じられていますが、こうした「地域貢献」の中高生が「無償の労働力」として介護市場に雪崩れ込んだ場合、介護事業者や職員が「賃金をもらう仕事」としてやっていけなくなる可能性も少なくありません。
ただでさえ賃金、環境ともに劣悪な状況に置かれている介護の現場をさらに圧迫することは間違いなく介護の質の低下をもたらし、要介護者やその家族の選択肢を狭め、負担をこれまで以上に大きくすることになります。
ネット上では既にこの件に関し、介護の現場を全く理解していないとして多くの批判が吹き荒れています。
ただでさえ少なくなった授業時間のどこに介護の勉強をねじこむ気なのか?お手伝いって何?なり手が足りないなら賃金の改善が先でしょー…介護なんて一歩間違ったら高齢者の命に関わるのに中高生にお手伝いさせるはねーよ…
— 琴雪@三日月様専用審神者 (@tubakijyou) 2015, 11月 11
それね………仮に何かの間違いで中高生がボランティアで介護に本当に来る事が決まってしまったら現場の介護士さんは普段の仕事に加えていきなりたくさんやってきた素人の教育に追われなきゃならなくなるよな……
— ・斉藤思按・ (@s_becky_saitou) 2015, 11月 11
国会中継は見てなかったけど、中高生に介護の「お手伝い」をさせるって本当に言ったんか。
国際的な児童労働の定義は「15歳未満の子供に労働させる、15~17歳の子供に過酷な労働をさせる」ですが、もろ当てはまってる。
現実的に無理なだけじゃなく、これが国会の場で出る国の人権意識やばいよ
— Kumiko (@Kumiko_meru) 2015, 11月 11
介護職とかは確かに人手不足だろうけど…これはないだろう…そもそも専門の勉強をしたこともない中高生をいきなり職場にいれるなんて預かってるお子さんやご老人方に何あったらどうするんだ?こわい
— 糸唐辛子 (@73togara) 2015, 11月 11
人の命を預かる介護を中高生にやらせるとか、どこのポルポト政権が行った子ども医者ですか?そして中高生に老人の介護やらせるとかどこの勤労動員ですか?お前ら人の命なんだと思ってんの?
— 官憲 (@go49733) 2015, 11月 11
国民が徴兵制の心配していたら、国は中高生を介護奴隷にすることを考えていたでござる
— ナモΨ(oжo)Ψ (@namo_no_mi) 2015, 11月 11
↓これはもう全てにおいてアウト。そもそも義務教育は児童労働の回避のためでもあるし、年寄りにも人権はあるし、命の安全についての責任を中高生に負わせるのは明らかに学業の範囲外。介護についての実技教養は万人に役立つものだが、労働力の確保を目的にしてはいけない。
— ねこかめ (@nemunemucat) 2015, 11月 11
「三世代同居」からの「中高生ヘルパー」って、完全に保育&介護リソースの世帯内封じ込め完了で一丁上がり、って発想だよねぇ。保育と介護の“必要性”が不可視化されただけで解決にはなってないものを、とにかく「不可視化がしたい、見えなくなれば無いものにできる」って欲望ダダ漏れとる。
— やましなゆうすけ (@battamon_23) 2015, 11月 12
「全中高生にヘルパー3級程度を」発言。初任者研修(旧ヘルパー)1人受け入れるにも、担当決めてカリキュラム組んで人手不足の中をマンツーマンで指導して、さらに夕方の忙しい時間にその日の振り返りの時間作って、勤務後には実習日誌のコメント書いてと介護現場からしたらすげー負担なんすけど。
— あぶどら (@datechibu) 2015, 11月 12
例え1日の実習であろうと、事故リスクが増え実習受け入れはいっつもドキドキなのです。それを中高生全員やれと?現場介護職員、メンタル病むし死ぬよ?<中高生に全員ヘルパー3級程度発言
— あぶどら (@datechibu) 2015, 11月 12
てか中高生に専門職である介護の無給労働させて介護の問題どうにかしようなんていろんな方面に失礼なクズ思考を臆すること無く発言してしまうようないい歳した大人がいるって絶望的ですね。こんな話しちゃう奴が国の中心部らへんにいるのに子供産もうと思うわけない。子供が苦労するの目に見えてる。
— 夏木立禄@地元脱出する (@summer_roku) 2015, 11月 12
このような話はいわゆる弱小政党の妄言として一笑に付すべきものなのですが、由々しきことには「一億層活躍社会」の名のもとに閣僚がふたりも賛意を示しています。こうした方針が組み込まれては介護を受ける側はもちろん、当の中高生にも介護職員らにとっても大きなマイナスにしかならず、超少子高齢化社会をさらにいびつで困難なものにしていくでしょう。
まずは何を置いても介護職の報酬アップと労働環境改善を行い、介護職を将来性があり人の集まる仕事にしていくことが必須です。
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