「消費税10%に伴う軽減税率の財源確保のため社会保障充実策一部見送り」という本末転倒



全額社会保障に使われるはずだった消費税。しかし軽減税率導入のために社会保障充実作が一部見送りとなるという本末転倒の事態となりそうです。詳細は以下から。


安倍政権ら与党は消費税増税時に導入する軽減税率の財源確保のため、社会保障の充実策を一部見送る方針を固めました。

「消費税は全て社会保障に使われる」これは消費増税を行う際の国民への説明であり、自民党のHPにも明確に以下のような記載があります。


こちらは財務省のHPから。「消費税率引上げによる増収分を含む消費税収(国・地方、現行の地方消費税収を除く)は、全て社会保障財源化」と明言されています。


そして軽減税率導入は自民党の宮座や税調会長が軽減税率といったものを導入するというのは『社会保障と税の一体改革』で決まったものでありますから、一体改革のフレームの中で処理するということは当然のことであると発言した通り、当然導入されてしかるべきもの。

つまり今起きていることは、社会保障を充実させるために社会保障と税の一体改革として消費増税を行い、そこで決まったはずの軽減税率を導入しようとしたけれど、財源が足りなくなるので増税はするが社会保障充実策を一部見送るということ。まるで絵に描いたような本末転倒です。

いったいなぜこんな訳の分からない話になっているのでしょうか?それは自民党の「軽減税率で減収となる分の社会保障の財源は消費税だけで補うべきだ」という考え方です。公明党は社会保障費の財源にたばこ税の増税や、法人税や所得税などの消費税収以外の財源を探るべきだとしていますが、自民党はあくまで「社会保障は消費税収から」という姿勢を崩していません。

ここで「消費税収は全額社会保障に」がなぜか「社会保障は消費税収から」へとすり替わってしまっているのです。こうした発想から自民党は軽減税率の対象品目をも社会保障に回す財源が減るとして極力絞り込もうとしています。

なお、現時点で見送りの検討が明らかになっている社会保障充実策は医療、介護、保育などの自己負担総額に上限を設けて低所得者を支援する「総合合算制度」と呼ばれるもの。同じく低所得者のサポートの意味合いの強い軽減税率の導入とバーターにされてしまってよいものではありません。

「消費税収は全額社会保障に」は間違いなく消費増税の条件でしたが、「社会保障は消費税収から」である必要は一切ありません。法人税減税や防衛費増加を行う余裕があるのであれば、そちらの財源も有効活用すべきではないでしょうか。

軽減税率 自公 社会保障の財源で議論へ NHKニュース

軽減税率:与党財源駆け引き たばこ増税、自民内に慎重論 - 毎日新聞

軽減税率、財源に社会保障の負担軽減分 自民税調 配偶者控除の見直しは延期 - 産経ニュース


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