電気ガス水道は対象外の軽減税率、なぜか新聞が優先して適用へ


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単に税率を据え置くだけにもかかわらず、「軽減税率」という言葉ばかりが一人歩きする昨今。食品内での線引きばかりが報じられる中で、その報道主体である新聞が、こっそりと対象となっていました。詳細は以下から。


2017年の消費税10%への増税を前に大盛り上がりの「軽減税率」という名の8%への据え置き税率。1兆円以上の財源が必要だという謎の議論が紛糾した後は対象となる食品への線引で泥仕合となっています。

問題となっているのはどこまでが「外食」に当たるのか。ケータリングや出前、コンビニなどのイートインとテイクアウト、車内販売や機内食といった細かい部分でのつばぜり合いが続いています。

そんな報道が溢れかえる中、実はそうした報道を行っている新聞にも極めてひっそりと軽減税率を「国民の知る権利を確保する必要がある」という理由で適用することに自民・公明両党が合意しました。

しかも駅やコンビニなどで売られる新聞や電子版などは対象外となり、あくまで「日刊か週2回以上発行する新聞を定期購読する場合に、8%の税率が適用される」としており、定期購読へのあからさまな誘導であるとの批判も出ています。

日本新聞協会は「知識への課税は最小限度にとどめるべきだ」「豊かな国民生活を維持するのに欠かせない公共財」などとする声明を発表して新聞を軽減税率の対象とすることを強く求めてきましたが、同じ知識であるはずの「書籍」や「雑誌」については「日常生活における意義、有害図書排除の仕組みの構築状況等を総合的に勘案しつつ、引き続き検討する」として先送りに。

しかし新聞がデマを拡散したり極めて偏向した記事を書くことがあることは、思想の左右を問わず広く国民の知るところ。新聞のみを書籍や雑誌の上に置いて「国民の知る権利」や「知識」を司る「公共財」として自ら振る舞う姿勢はまさに噴飯物です。

フジテレビはこの件について「自民党の幹部は、新聞を対象にしたのは、選挙対策の一環でもあるとの認識を示して」いることを報じ、「増税で、販売部数の減少を避けたい新聞業界と、軽減税率制度への批判を抑えたい政府与党との思惑が、一致した点もあるとみられる」と厳しく指摘。

ネット上ではこうした指摘に加え、頻繁に繰り返される安倍総理とメディアのトップらの会食と絡めた批判も出ており、自民党内から新聞が生活必需品に入っているが、われわれは、どう説明すればよいのかという批判も噴出。

一方民主党の細野幹事長も新聞を「公共財」とする意見に「水道や電気、ガスも生きていくうえで不可欠だ。新聞だけが対象として議論されることに、強い違和感を覚える」としており、食品に続いて議論されるのが新聞ということに違和感を示しています。

新聞各社は今もその報道の中で格差の拡大や貧困の蔓延についても取り上げており、そこで報じられるように多くの国民は増税に苦しみ、現在の生活や将来の展望に少なからぬ心配を抱えているのが現状。

そうした報道を行う一方で、自分たちだけは税率据え置きという恩恵に預かり、その上にのうのうとあぐらをかくとしたら、いったいそんな「新聞」を誰が国民の立場に立った「公共財」たる「知識」として信頼するのでしょうか?




www.fnn-news.com 軽減税率対象に「新聞」 新聞業界と政府与党との思惑一致か

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