汚染土ビジネス開始か?8000Bqまでのリサイクル原発汚染土に「有償引き取り」議論



1kg辺り8000ベクレルにまで緩和された原発汚染土の再利用。今後は「汚染土ビジネス」が生まれることになるかもしれません。


先日からBUZZAP!でお伝えしているように、福島第一原発事故の除染廃棄物として大量に積み上げられている汚染土を道路や防波堤などの公共事業の建設資材としてリサイクルするための基準が事故前の100Bq/kgから8000Bq/kgまで80倍に緩和され、その結果として汚染土の99.8%までがリサイクル可能となりました。

しかし、せっかくリサイクル可能となっても使ってもらえなければ基準を80倍にまで緩和した意味がありません。以前起こった、特に汚染されてもいない震災ガレキへの反対運動を見れば、実際に8000Bq/kgの汚染土への反対が叫ばれるのは間違いありませんし、その対応を考えればわざわざ汚染土を使うメリットもありません。

そこで、環境省の公開の会合で議論の俎上に上ったのが「インセンティブ(特典)」。「使う動機づけがなければ普通は通常の土を使ってしまう」との発言にあるように、汚染土を使うことによる特典を、公共事業を行う業者に与えようというもの。

どういったインセンティブになるかの具体的な話はもちろん現時点では出ていませんが、真っ先に考えつくのが「逆有償」です。これは廃棄物を処理する際の取引において、排出側(汚染土で考えれば国になります)が処理側(同様に公共事業の受注者になります)に支払う代金が上回る取引のことを指します。

複雑な廃棄物処理法や費用の分類の話などをすっ飛ばして一言で言えば「お金払うからこのゴミ引き取ってよ」という話となり、「汚染土を引き取ることが利益に繋がる」ことになります。

確かにこうすれば企業側としても汚染土を用いる動機付けにはなります。しかし、これまでも日本各地で産業廃棄物の不法投棄が問題になってきまように、今度は汚染土でもこうした違法なビジネスが発生する可能性が出てきます。

また「お金払うからこのゴミ引き取ってよ」の発想は、「補助金出すから原発作らせてよ」として過疎地に多くの原発が作られてきたように、お金のない自治体に汚染土を押しつけるような結果にもなりかねません。

汚染土に関しては、極めて慎重な運用が必要なのではないでしょうか?

原発汚染土:再利用、偽装誘発の恐れ 有償引き取りも議論 - 毎日新聞

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