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原子力規制委員会からもオワコン扱いされているもんじゅを馳浩文科相は動かすつもりのようです。力技ということでしょうか?
かつて国家プロジェクトである「夢の」核燃料サイクル計画の要だった福井県敦賀市にある日本原子力研究開発機構の高速増殖炉もんじゅ。1995年に稼働した途端にナトリウム漏洩事故が発生した上、現場映像の隠蔽から担当次長の自殺という、設備と管理体制の双方に致命的な欠陥を露呈してしまいました。
その後も炉内中継装置の落下事故と担当者の再びの自殺があり、震災後には1万個近い機器の点検漏れが発見されて原子力規制委員会から無期限の使用停止を命じられました。これには規制委の田中俊一委員長も「文科省の説明で納得したという段階ではない」「何らかの措置は必要と考えている。(設置許可取り消しも)排除しない。安全の確保がもっとも大事だ」と痛烈に批判。
それでも安倍首相は2014年に策定したエネルギー基本計画でもんじゅを存続させる方針を決めましたが、田中委員長は「考慮はしません。安全をないがしろにしていいという判断はしない」と明言しており計画は名実ともに頓挫しています。
原子力規制委員会に原子炉設置許可を取り消しを求める訴訟も起こされましたが、その際の国側の言い分は「もんじゅの稼働は今後相当な期間、見込まれず、現実的な危険性はない」というなんともトンチンカンなもの。一度決めたプロジェクトを見直せないというこの上ない悪習の例としてもんじゅは現在も福井県に停止したまま聳え立ち、それでも1日に5500万円もの予算を食いつぶしています。
このもんじゅについて20日にインタビューに応じた馳浩文部科学相は「廃炉という選択肢は現段階でまったくない」「動かすことが前提」と述べ、規制委の勧告に従って運営主体を日本原子力研究開発機構から変更し、最初の計画通りに発電と高レベル廃棄物に含まれる放射性物質の半減期を短くする研究に取り組む施設として維持する考えを明らかにしました。
新たな運営主体は現時点ではまだ決定しておらず、いつ頃どのように決定されるのか、どのような段階にあるのかも不明。であるにも関わらず廃炉という選択肢は全くないとの断言となっています。
世界的には高速増殖炉開発はコスパの悪さから既にオワコン扱いされています。馳浩文科相は「費用対効果を示してもんじゅの意義を説明していく必要がある」としていますが、最終的には「世界の動向も踏まえながら判断していく必要がある」と弱気の姿勢も見せています。
決断が遅くなればなるほどリソースの無駄遣いは膨らむ一方ですが、馳浩文科相にその辺りの決断を求めるのは難しそうです。
もんじゅ「動かすことが前提」 馳文科相、廃炉を否定:朝日新聞デジタル
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