Photo by Martin Thomas
有効求人倍率が1.48倍と報道されましたが、中身が全然違うだろうとのツッコミが相次いでいます。
NHKは5月30日、2017年4月の有効求人倍率が3月から0.03ポイント上昇して1.48倍となり、バブル期の最高を超える高水準となったことを伝えました。
この1.48倍という数字はバブル期の最高値である1990年7月の1.46倍を超え、1974年2月以来となる43年2ヶ月ぶりの超候水準となったとのことです。
都道府県別では東京都が最高で2.07倍、次いで福井県が2倍、石川県が1.86倍の順番。最低が北海道の1.09倍、神奈川県の1.11倍、沖縄県の1.12倍と続き、都会か田舎かはあまり関係がなさそうです。
新規の求人数も2016年の同時期と比べて3.2%増加。ヤマト運輸の人手不足が先日も大きな話題となった運輸業、郵便行が8.3%、製造業が7.9%、建設業が6.9%とのこと。
厚生労働省は「有効求人倍率は、製造業や建設業で新規求人数が増え続けていることなどで、大きな伸びとなった。産業構造が違うとはいえ、数字のうえではバブル期を超える高い水準となり、雇用環境は着実に改善が進んでいる」などと胸を張っていますが、ネット上では当然ながらツッコミが相次いでいます。
"「有効求人倍率がバブル期上回る」一方で賃金は…"
まずは賃金についてですが、平均年収.jpの数値を見てみると平成27年度の平均賃金は420万円。一方1990年の平均賃金は上記サイトに記述がないため国税庁の「民間給与実態統計調査」をベースにしたこちらのサイトの計算で425万円となっています。
一見同じように見えますが、1990年時点での賃金の伸び率は4%前後で、1997年の467万円までは右肩上がりです。しかしそこから賃金は目減りし始め、2016年に実質賃金は6年ぶりに増加したとはいえ、0.4%と極めて微量の増加に留まっています。
東京新聞_実質賃金0.4%増…でも伸び悩む バブル期並み求人倍率なのに_経済(TOKYO Web)
つまり、この有効求人倍率の増加は経済が好調になっている訳ではなく、少子高齢化による労働人口の減少による人手不足に伴うものと考えるべきもの。実際に総務省の資料によると、15~64歳の生産年齢人口が2013年10月時点で7,901万人と32年ぶりに8,000万人を下回っており、今後も減少傾向が続くことが予測されています。
そうした中で非正規雇用は増大の一途を辿り、厚生労働省の2014年版「就業形態の多様化に関する総合実態調査」で1987年以来始めて4割に達しています。
「賃金の節約のため」非正規雇用がついに4割にまで増大、所得格差もくっきり | Your News Online
非正規雇用では賃金に大きな格差があったりボーナスが支払われなかったりする上に、時間外勤務や深夜・休日手当の割増率、通勤手当(交通費)や出張費、慶弔手当や社員食堂や更衣室の利用といった福利厚生、職業訓練の受講機会など多くの面で正規雇用よりも劣悪な労働環境を強いられているケースが極めて多いのが実態。
「非正規雇用」の現状と課題
人が足りないのであれば将来性の見込める正規雇用を増やし、賃金や待遇を良くするのが定石。低賃金・劣悪環境という条件のブラック労働の求人ばかりでは人が集まらないのは当たり前のことです。企業はまず賃金を上げ、労働環境を整備してから出直してくるべきですし、国はそうした方向に舵を取り、法整備を進めるべきです。
4月の有効求人倍率1.48倍 バブル期の最高超える _ NHKニュース
(Photo by Martin Thomas)
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