Photo by Clint Lalonde
日本に先駆けて韓国が全面的な脱原発に舵を切りました。詳細は以下から。
韓国の文在寅大統領は6月19日に釜山市で開かれた古里(コリ)原発1号機の廃炉に向けた稼働停止を記念する式典に出席。そこでの演説で「原発政策を全面的に再検討する」と宣言しました。
脱原発の柱としては新規原発の建設計画を白紙化する上に、設計寿命を超えた原発は稼働を延長しないことを迷言。さらに延長して運転中の原発は早期に閉鎖する方針を示しています。
古里原発1号機は韓国に25基ある中で初めて稼働した原発であり、また初めて廃炉となる原発になります。
宣言の中で文大統領は「原発は開発途上国の時期に選択したエネルギー政策」と断じた上で「古里原発1号機の永久停止は、脱核国家への第一歩だ」と、明確に脱原発への一歩を踏み出したことを宣言しています。
さらに文大統領は日本の福島第一原発事故にも触れて「地震による原発事故は極めて致命的だ。原発が安全でも低廉でも環境に優しくもないという事実を明確に示した」と指摘。
古里原発は約30年の設計寿命を迎えた2007年に10年間の運転継続が認められたものの、故障が続出。2012年には全電源喪失事故を起こしていました。
なお、米ワシントンのシンクタンク「天然資源防衛委員会」(NRDC)の上級研究員を務める姜政敏博士らが2016年に古里原発が福島第一原発事故に似たタイプの事故を起こした際のシミュレーションを行っています。
それによると、冬期に事故が起こった際に天候や風向きの影響で最も大きな被害を受けるのは西日本で、最大67000平方kmが避難対象地域になり、最大2830万人が避難を迫られる可能性があるとの結果が出されています。
2017年1月には台湾の蔡英文政権が2025年までに原発の運転を全て停止するとした脱原発法を成立させたばかりですが、福島第一原発事故の事故当事国よりも近隣国の方が早く脱原発に舵を切るというなかなかに皮肉な事態になっています。
新規原発計画、全面白紙化=福島事故を教訓に-原子力政策転換・韓国大統領:時事ドットコム
韓国、原発の新規計画を白紙に 「途上国時代の政策」:朝日新聞デジタル
(Photo by Clint Lalonde)
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