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「残業代ゼロ法案」が「脱時間給」法案と名を変えてゾンビのように復活することが報じられました。詳細は以下から。
日経新聞の報道に寄ると政府は秋の臨時国会で残業時間の上限規制などを含めた働き方改革関連法案を審議する予定で、これと同時に脱時間給を盛り込んだ「労働基準法等の一部を改正する法律案」の成立を目指す予定とのこと。
この「労働基準法等の一部を改正する法律案」はBUZZAP!でも以前詳しく報じましたが、2015年4月3日に安倍政権が閣議決定し、この年の通常国会に提出されたもの。別名が「ホワイトカラーエグゼンプション」であり、「残業代ゼロ法案」「過労死促進法案」「定額働かせ放題法案」などとも厳しく批判され、安保関連法制の大紛糾の中で継続審議となりました。
その後結局2年間棚ざらしとなってきましたが、日本労働組合総連合会(連合)が条件付きで容認する姿勢を示したため、臨時国会での審議の再開の運びとなったとのこと。
修正案としては、労使に休日取得を徹底させて年間104日以上の休日確保を企業に義務付けることが浮上しています。これはちょうど1週間で2日休む計算。他にも「勤務間インターバル」「労働時間の上限設定」「2週間連続の休暇の確保」「臨時の健康診断の実施」等のオプションから選択できるようにするとの案も出されています。
現行法案では労働時間の規制がなくなったり裁量労働制とすることで、企業が従業員をこれまで以上に長時間、残業代などの手当を払わずに働かせることができるようになります。企業としてはこれまでの脱法的な操業を合法化できると共に、人件費を抑えることまでできてしまうという夢のような法案でした。
法案修正が行われるとはいえ、連合の神津里季生会長は経団連との交渉の中で「繁忙期は月100時間まで残業OK」を飲んで名実ともに屈服した人物。果たして今回の「残業代ゼロ法案」に対し、どこまでまともに働く人のために戦えるのか不安が残ります。
また、この法案が年収1075万円以上の人のみを対象としていると勘違いしている人も少なくありませんが、法案に書き込まれているのは年収が「基準年間平均給与額の三倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める額以上であること」という文言。
法成立時点では年収1075万円以上が対象とされていても、法改正無しで厚生労働省の省令によって対象となる額が変更可能です。また、この残業代ゼロ法案を強力に推進する経団連が対象者を「当該年における年収の額が400 万円(又は全労働者の平均給与所得)以上であること」を求めていることはもっと知られるべきでしょう。
「脱時間給」法案を修正 連合と調整、制度化へ前進:日本経済新聞
(Photo by Ray_LAC)
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