自らの公約の一環なのですから解散・総選挙の必要が全くないはずなのですが…?詳細は以下から。
安倍首相が自ら掲げた「消費税は全額社会保障に使う」という前回の公約どおりの主張なのですから、解散・総選挙を行う大義名分が今度こそ完全消滅してしまいます。いったいどういうことなのでしょうか?
先日もBUZZAP!では読売新聞が、安倍首相が今月末にも行われるとされる衆議院の解散・総選挙で10%に引き上げる消費税の増収分の使い道を「『国の借金返済』から『社会保障の充実』に振り向けることを国民に訴える考えだ」と報じた事について詳しく検証しました。
2014年に消費税率が8%に引き上げられる際、政府は「消費税率の引上げ分は、全額、社会保障の充実と安定化に使われます」と明言していたものの、増収分の約14兆円のうち社会保障の充実に使われたのは2割程度の2.8兆円。そして半分以上の7.3兆円が「後代への負担つけ回しの軽減」という名目で財政健全化のための国の借金返済に使われてしまっていました。
安倍首相の今回の訴えは、こうした国の借金返済に使われていた分を幼児教育無償化や子育て支援などを含めた社会保障の充実に振り向けるというもの。しかしそれは先日論じたように、2014年の衆院選でも安倍首相の率いる自民党が公約として掲げたものと大して変わりません。
つまりはこうした社会保障の充実は粛々と予算審議の中で変更していけばいいだけの話であって、改めて解散・総選挙を行って「信を問う」ような問題ではありません。むしろ前回の総選挙の公約がこれまで実現できていなかった責任が問われるところで、解散・総選挙では「なぜこれまでその公約ができていなかったのか」が厳しく問われることになります。
衆議院の解散・総選挙には650億円(産経新聞によると800億円)の費用が掛かり、これだけの税金があればすぐにできる社会保障の充実もあるはずです。さらには北朝鮮の脅威が目前に迫っているとしながらも敢えてこのタイミングで政治的空白を作る事には整合性がありません。
既に民進党の前原代表は「自己保身解散」と批判しており、ネット上でも「モリ・カケ隠し解散」などと揶揄され、森友学園問題、加計学園問題、南スーダンPKO日報隠し問題などの並み居る問題を臨時国会で追及されることから逃亡するための冒頭解散だという指摘が相次いでいます。
また、こちらも支持率アップを目指して行われたと批判される8月の内閣改造で「仕事人内閣」とされた新内閣も結局ろくに何の仕事もしないままに解散ということになってしまいます。
批判から逃げ、支持率を上げるためならなりふりを構わない、そうした評価が下される危険性が少なくありませんが大丈夫なのでしょうか?
衆院選で首相、消費増税の使途変更問う 教育無償化に:日本経済新聞
安倍首相、解散の大義急造「消費増税で教育・社会保障」:朝日新聞デジタル
次期衆院選:消費増税分、配分見直し 首相、争点化狙う - 毎日新聞
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